• 目標管理の目的は評価ではないという話

    目標管理の目的とはなんでしょうか。 それはズバリ「チームのビジョンに向かって、より高い成果をだすこと」だと僕は考えています。 Colorkrew(以下、カラクル)は目標管理において、MBO(Management by Objectives:目標によるマネジメント)、OKR(Objectives and Key Results:目標と主要な成果)をさらに一歩進めたGKA(Goals, Key Results and Actions)を提唱しています。 MBO・OKR・GKAの違い MBOは、1950年代にピータードラッカーが提唱し、日本でも多くの会社に取り入れられています。 目標を期初に設定し、期末に振り返りで目標を達成したかと話し合う。 こういった上司との面談を行ったことがある人は、多いのではないでしょうか。 しかし多くの会社では、部下にノルマを押しつけ、管理するための道具として使われてしまったことから、うまく機能していないケースが見られました。 そんな中、2000年代に入り、Googleが採用していたOKRという、新しい目標管理の仕組みをアメリカをはじめとして取り入れる会社が増えていきます。 OKRは、Objectives(目標)をわくわくするようなタイトルとし、Key Result(主要な成果)を測定可能で、かつストレッチなものを設定します。かつその組織のトップが持つ戦略的なOKRを、ツリー型に全社でつなげていく運用をします。 MBOに比べ、全体で目的意識を統一し、より高い達成へと向かうことを目的としたこの仕組みは、日本でもメルカリをはじめとした先進的な取り組みをする会社に好んで取り入れられています。 こうした目標管理の歴史を踏まえて、カラクルはGKAをうみだします。 GKAでは、OKRの階層型の考え方をよりフラット化し、ビジョンに各目標を紐づけ、活動と進捗を日々オープンに共有していくことを必須にするという新しい目標管理の定義としています。 簡単に言えば、OKRをフラットで透明にしたものがGKAなのです。 GKAの詳しい解説はコチラ ▼OKRからGKAへ–目標達成への最新ツール 達成度で評価するとパフォーマンスが下がる!? MBOやOKRなどの目標管理を導入している企業では、その90%が目標管理を評価に結びつけています。 この中で、達成度を人事評価に結びつけている会社も多いと思われますが、実はそれは目標管理の罠。 達成度で評価すると、パフォーマンスは下がります。 例えばどういうことか。 AさんとBさんが同じ仕事をしているとしましょう。 Aさんは150という高い目標を設定しました。同じ仕事にも関わらず、Bさんはコンサバに100という目標にします。 二人は、大体同じくらいの実力でしたが、Aさんは野心的な目標を掲げたのでBさんよりも積極的に頑張りました。結果、Aさんは120の成果を出します。そして、Bさんは110の成果を上げました。 この場合、Aさんの方が成果を出したにも関わらず、目標を達成できず低い評価になってしまう。 Aさんは報われませんよね。そして考えます。 「次回は、低めに目標を設定しよう」 この認識が組織の中で広まると、「現状のネガティブ情報をなるべく入れておいて、目標は上司が許容する中でとにかく最低レベルに設定しよう」などというマインドセットが蔓延し、目標管理が形骸化するというメカニズムです。 せっかく、組織のパフォーマンスを上げたいと思って導入した目標管理が形骸化してしまっては本末転倒。 達成度に対してのインセンティブを給料に反映したいのであれば、それだけの仕組みを作り、目標管理とは別に運用をすることをお勧めします。 達成目標を適切に設定すればいいのでは?という意見について 「マネージャーがちゃんとバランスをとって、適切な目標にすればいいのでは?」という意見もありそうです。 残念ながらそれは至難の技です。 その達成度で評価されるとわかっていれば、多かれ少なかれ、メンバーは自分に都合のいい情報をマネージャーに伝え、なんとか目標を低くしようとしてしまうからです。 また、部署を超えてバランスを取るのも難しいでしょう。 ですから、達成目標を適切に設定することは、いい意味で諦めたほうがいいというのが僕の考えです。 自分で考えて設定することの意義 では、目標管理は意味がないのかというとそうではありません。 ワクワクする、ストレッチな目標を設定して、そこを目指すことは、より高い成果を導き出します。 カラクルが推奨するのは「自分たちで目標を決める」です。
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  • 360度評価に偏重する評価制度は機能しないという話

    Colorkrew(以下、カラクル)の評価制度は、普通とは少し違ったやり方です。 一番の特徴は「自分を評価する人を”自分で選ぶ」ということです。 本質的にこれはフェアな360度評価を目指す考え方なのですが、単純に民主的っぽい360度評価をしているだけだと、その会社の評価精度は破綻すると僕は考えているので、今回はそれを書きたいと思います。 日本の評価制度の変遷 日本では年功序列的な評価制度や人事が、バブル崩壊まで主流とされてきました。 これは、製造業中心で高度成長を成し遂げた日本には非常にフィットするモデルでした。 企業の成長は「改善の積み重ね」であること、社員が日本人という共通のバックグラウンドを持っていることを前提とし、着実に仕事をすることが有効な時代。 バブル崩壊後、多くのプロダクトが成熟期を迎えたことで、よりイノベーションが市場から要求されることになりました。 そこでは、単純にそれまでの日本企業の成長モデルは世界で通用しなくなり、人事においても成果評価などが取り入れられるようになりました。 現在では、目標登録による評価が大半の企業で行われています。 アメリカの評価制度 20世期以降の世界経済は常に欧米が世界をリードしてきました。 その中でもアメリカはスーパーパワーであり、評価制度に関するイノベーションの牽引役でしたので、アメリカの評価制度も見ていきたいと思います。 アメリカでは、なんと既に1940年代には半数以上の企業で業績に基づく評価が取り入れられていたそうです。 そして、日本でも多くの会社が取り入れている目標登録のMBO(Management by objectives)は、マネジメント理論の巨匠ピーター・ドラッカーが1954年に提唱しています。 その後、インテルの3代目CEOのアンディ・グローブがOKR(Objectives and Key Results)を提唱し、2000年代にGoogleなどのテック企業がこぞって導入したことで、評価制度の主流となっています。 いき過ぎた評価制度を訂正する動き 一方、MBOやOKRでのいき過ぎた評価を廃止しようとする動きもあります。 「ノーレイティング」という考え方で、いままで点数やランクで評価をつけていたことを止めるということです。 ノーレイティングというと「評価しない」ように聞こえますが、実は人材評価はします。 点数やランクをつけることを止めるということが肝で、あとは相対評価から絶対評価にしていくことなどが特徴です。 それでも結局評価するのは上司 これまでの評価制度の変遷を見てきましたが、一つだけ変わらないことがあります。 それは「評価は上司がする」ということです。 評価を上司がするというのは、ある程度理にかなっていると僕は考えています。 その会社の中で過去に評価された人がマネージャーとなり上司となるので、上司は部下より会社の価値観を理解している傾向があります。 人事や評価制度は会社の価値観に基づいて行われるべきですし、また上司はビジネスパーソンとしてもシニアであることから、評価担当者を選ぶのであれば、上司は妥当な選択肢でしょう。 ただ、一つだけどうしても避けられない問題があります。 上司のレベルに評価のクオリティが依存してしまう 僕にも経験がありますが、上司が変わると評価が180度変わってしまうことがあります。 個人の価値が一瞬で変わってしまうことはないにも関わらず、そういうことが起こります。 それは良かれ悪しかれ、評価が上司の個人的な判断に依存することが原因です。 判断といえば聞こえはいいですが、そこには個人的な感情、平たく言えば好き嫌いや嗜好が影響するのです。 評価で大切なのは納得感 僕は「人を評価するというのは究極的に難しい」と常々思っています。 完璧はあり得ません。 正しい評価とは、もはや神の領域ではないかとも思います。 評価制度はどこまで行っても正解のないものです。 様々な要素を考えてブラッシュアップしていく必要があるのですが、その中で僕が最も大切に考えているのが「納得感」です。 カラクルでは、先日人材評価に関してのアンケートを取りました。 納得度に関しては**85%の社員が「自分の評価に納得している」**と答えました。 これは高い方ではあると思いますが、「納得していない」「全く納得していない」も15%いましたので、全員が納得する評価制度というのはまだまだ遠いなと感じました。 カラクルの評価制度 カラクルの評価制度に関しては、過去いくつか書いているので、興味ある方はそちらを見ていただければと思います。 ▼評価制度について https://blog.
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