バリフラットができるまで ⑧〜評価制度をぶっ飛ばす~
今回は、コーチ制度をぶっ飛ばしたあとに、評価制度をぶっ飛ばした話をしたいと思います。 前回の記事はコチラ➡バリフラットができるまで ⑦〜コーチ制度をぶっ飛ばす 一般的な評価制度の問題 評価は上司がするもの。 多くの会社での評価制度はそうなっています。 当たり前ではありますが、上司は選べません。 僕自身も過去、色々な上司と仕事をしました。 素晴らしい上司に巡り会ったときは、素晴らしいコーチングをしてもらえました。 また、良くも悪くも的確な評価をしてもらえます。 逆に、相性が悪く、役職者としてのスキルと人格が十分備わっていない上司に当たると、どうしようもなく、ただただ「早く人事異動にならないかな」と祈るしかなかったことを記憶しています。 いま思えば、上司から見れば僕は厄介な部下だったろうし、嫌われていたこともありそうです。 このように、マッチしていない人がコーチ(上司の役目)になり、理解したくもないのに評価する制度には無理があるのではないでしょうか。 360度評価について 一方通行の評価の限界を打開しようとして生まれたのが360度評価です。 人事的には、マネージャーが一方的にパワフルになることを抑止できるいい方法だと思っています。 ただし「本当に評価するべき人」を会社がパーフェクトに選ぶのは至難の技でしょう。 であるならば、コーチと同じで自分で選んでしまえばいい。 こうした経緯で、ISAOの「評価者を自分で選ぶ」評価制度が始まりました。 こう説明すると、「自分に甘い評価をしてくれる人ばっかり選んじゃったらどうするの?」と、必ず質問されます。 オープンが全てを解決する! 全てがオープンなISAOは、もちろん、誰が誰を評価者に選んだのかもオープンです。 そうすると自然に、甘い評価者ばかりを選ぶわけにはいかなくなります。 周りの人が「あなたの評価者選定おかしいよね」となるからです。 さらに、コーチも評価者を追加できる仕組みで、よりフェアな評価者選びを実現しています。 ISAOの人事評価 ここで、ISAOの人事評価がどうなっているのかを少し説明します。 ISAOの目標管理は、Googleで採用されているOKRをさらに進めたGKAを使っています。 GKAとは、Goal(目標)ーKR(成果)ーAction(活動)の略で、目標をオープンにし、それに向かった日々の活動をどんどん共有するというシステムです。 Goalousは、GKAをベースにした社内コミュニケーションサービスです。 ISAOは、Goalousで過去の活動や進捗度合いを見て、印象ではなく、実際の活動をしっかり確認して評価するのです。 Goalous上で、各目標に関しての評価をして、その上で「総合評価」を行う。 総合評価は、 定性的に・・・ 評価できることや、その人の今後の課題など 最終評価・・・ 等級を上げるべきか、そのままか、それとも下げるべきか これらのフィードバックを目的にしています。 等級を上げるべきか、下げるべきかは、非常にセンシティブなものですが、結局はっきり意見を言うべきだという考え方で、評価者全員にしっかり意見を言ってもらうようにしています。 バリフラット2.0は、評価を全社にオープンに バリフラットより前から、ISAOは、自分に対して評価者がどういった評価をしているかをフィードバックしていましたが、他の評価者のフィードバックは確認できませんでした。 バリフラットを始めて3年経った2018年のことです。 社内からの声により、バリフラットを更に進化させようと、「バリフラット2.0」プロジェクトチームが作られます。 評価に関しては、**「全ての評価を全社員にオープンにする」**という意見がでてきます。 これは2.0へのアップグレードの目玉の一つとなりました。 最初にそれを聞いたとき僕は、正直「そんなことは出来るわけないし、反対が強すぎて、難しい」と思っていました。 そこで、思い切ってみんなに聞いてみました。 すると、ほとんどの人から「問題ない」「そうすべき」と答えが返ってきたのです。 僕のオープン哲学を、TeamISAOが上回った瞬間でした。...バリフラットができるまで ⑦〜コーチ制度をぶっ飛ばす~
今回は「コーチ」という課題にどう取り組んだかを書きます。 それまでの組織での「役職者の役割」を考えてみた バリフラットの枠組みを決める経営合宿で、プロジェクトリーダーを決めることで、事業運営に、役職者が必要ない仕組みにした話を前回書きました。 前回の記事はコチラ➡バリフラットができるまで⑥〜フラット化の総仕上げと部署の消滅 しかし、役職者の担っていた役割はそれだけではありません。 役職者たちは、その部のメンバーたちを評価したり、コーチングしたりと人材育成の観点で、非常に重要な役割を担っていました。 役職者のないバリフラットで、それらをどう担保するのか。ISAOが考えたのはコーチ制度でした。 コーチの役割は、メンバーと「キャリアプラン」を話し合い、その成長に貢献することと定義しました。 初期のコーチ制度 バリフラットスタート時のコーチ制度は、全体を見渡している経営メンバーたちが、個人個人に対して、適切だと思われるコーチ候補を数人提示し、本人にその中から選んでもらう、というものでした。 今振り返ると、成長に厳しく向き合わず、イージーな関係を構築できる相手を選んでしまうのではないか、社員一人ひとりがその人にとって適切なコーチを自分で選べないのではないか、と恐れていたのだと思います。 ISAOでのコーチは**「360度評価の取りまとめ」**という役割も担うので、自分と仲のいい社員をコーチとして選び、評価が甘くになってしまうことも危惧していました。 100%自分で選ぶコーチ制度に バリフラットがスタートした2015年10月から2年間ほど、この仕組みで運用をしたのですが、会社が提示するコーチ候補がベストではなく、本人にとってみれば他の人がいいという状況がポツポツと起こり始めます。 そこで**「コーチを変えたい」**と申告をしてきた人は、都度話をして、経営メンバーが納得すればコーチを変えられるという仕組みにしました。 何回かそういった話し合いを繰り返し、僕たちは思いました。 「もう、自由に選べばいいんじゃないか」 こうして、100%自分で選ぶコーチ制度が始まりました。 誰が誰をコーチに選んでいるかは当然オープンなので、自然と規律をもった選択をみんながすることもその後証明されています。 オープンはこんなところにも効いてきます。 コーチ資格 とはいえ、コーチングにはスキルが必要です。 コーチの候補者には、社内コーチング研修を受けてもらい、コーチをやっている人たちが集まって、悩みを相談し合う座談会のようなものを開催し、コーチングスキルを高める取り組みをしています。 もう一つの課題。 自由に選択した場合、多くの人が自分と同じ職種のシニアをコーチに指名する傾向があるのですが、コーチングスキルが足りないために、スキルの話に終始してしまい、メンバーの成長をサポートできないケースが出てくることです。 その場合、本来の目的であるキャリアプランの相談相手になれないのであれば、自主的に降りてもらうことも含め話し合いをします。 コーチはボランティア バリフラットの運営において、重要な役割を担っているコーチですが、コーチングでの手腕を評価してしまうと、結局昔の「中間管理職」的な考え方になってしまう危険があります。 そこでISAOはコーチとしての成果を、自分の評価に反映していません。 もちろん、チームに対しての貢献ではあるので、ある程度の底上げはありますが、コーチングの成果の評価はしないのです。 これは、コーチングに過大な時間をとってはいけないというメッセージでもあります。 どう効率的に、いいコーチングをするか。 これは永遠の課題ですが、しつこく取り組んでいきたいと考えています。 コーチのみ 会社だけのコミュニケーションだと、深い話がしきれないという理由で、コーチとメンバーが外でお酒も含めた食事をしながら話すことをサポートする制度が**「コーチのみ」**です。 コーチのみは、基本1対1での食事で、会社が1万円を補助するという制度です。 多くのペアがこの制度を利用して関係性を高めています。 人気コーチにメンバーが集まりすぎる問題 ボランティアといいつつ、コーチになればそれなりに時間が取られます。 そして、コーチとして人気のある人には、メンバーが自然と集まってしまう。 一人ひとりはそんなに時間がかからなくても、たくさんの人をコーチするとなれば、それなりに時間がかかってしまう。 また、一人一人とコーチのみしていたら、そのうち肝臓の問題も出てきそうです。 この問題はいまだに解決はしていません。 コーチできる人数制限を設けるかなどのアイデアも含め、今後解決していかなければならない課題だと思っています。 コーチは、いつでも変更可能 いまでは、自分の成長段階や、課題に応じて自由にコーチを変えることができるようにしました。 人事や経営のメンバーに相談する必要もありません。 自分で考え、自分で決める。 「自主性」を重んじた制度に進化しているのは嬉しいことです。 コーチを軸にした評価制度の確立 上述しましたが、コーチは360度評価の取りまとめ役を担っています。...Against Vertical Structures That Destruct Your Company: A New Organization Theory for the Century
How Should We Build Up an Organization? “How should I improve our organization which doesn’t seem working well?” It is a question that troubles many managers and leaders. How about installing a “Teal Organization” structure that gets rid of hierarchical relationships and management? It seems to be on trend; although it seems very far from our current organization....バリフラットができるまで ⑤〜バリフラットにした瞬間の話~
「バリフラットができるまで」は、まだまだ続く予定ですが、ここで徐々にフラット化していたISAOが、最終的にバリフラットにした瞬間の話を書きたいと思います。 想定していなかったバリフラット 前回のブログ「④〜オープンが先か、フラットが先か」で、トップ・部長・みんなという三階層になるまでの経緯を説明しましたが、その頃の僕は正直なところ**「このくらいがフラット化の行き着くところかな」**と思っていました。 ところが、僕が思ってもいない形で、バリフラットへISAOは進むことになります。 きっかけは、小泉部長の長期海外出張 テレビや取材を受けるといつも注目の的の小泉さん。 56歳で初めて営業となり、2年でエースになった人です。 詳しくは過去ブログでどうぞ。 「年齢は関係ない。成長し続ける還暦トップ営業マン」 小泉さんがインドへの長期出張から帰ってくるタイミングで、**「あれ、元の部はもう若手が部長やってるし、どうしよう」**となったのですが、ISAO的な考えでは、誰かのために不必要に新しい部署を作るということはしたくなかった。 とはいえ、ISAOの大功労者である小泉さんをどう処遇するかは、大きな課題でした。 全然いいアイデアが思い浮かばなかったのですが、もう一人の部長が突然僕に言ったんです。 「もう部長も止めませんか?」 えっ?かなりびっくりしました。だって、少なくなった中間管理職的仕事とはいえ、まだ部長には部門をまとめる役割をもってもらっており、マネージャーとして機能していたからです。 彼は、続けます。 「この会社は、ほとんどみんなが管理する仕事をせず、生産性のある仕事を求められている。それによってみんな成長しているし、その点では、逆に部長であることは足かせになっている。自分たちも他のメンバーと同じようにフラットな立場になった方が、会社にとっても、自分たちにとってもいいはずだ」 なるほど・・・ コンフォートゾーンから飛び出した部長たち 部長という仕事は、みんなのサポート役であり、直接現場にでて生産性のある仕事をする機会は少ない。 でも、組織さえうまく回っていれば、非常に安定していて、給料だってみんなより高い。 そんな彼らが**「そんなの捨てて、自分の身一つで勝負する」**と言い出したのです。 この話を始めたのが、小泉さんが帰ってくる3週間前。 2週間前には、当時の部長たちを集めて合宿をしました。 部長なしに、どうやってビジネスや組織を回していくのか。 そのエコシステムをとにかく徹底的に話し合いました。 一日中話して、夜は飲みに繰り出します。 「自分はxxxをやろうと思う。あなたはどうする?」みたいな話を延々としたことを覚えています。 彼らは担当としての仕事を持っておりませんので、すべてゼロからのスタートになりました。 言い出しっぺの営業部長は、営業として売上ゼロから再スタートです。 一番大きな部門を担当していた部長は**「新たなビジネスを一人で始める」**ことになりました。 すごくないですか? そのままだったら安定しているのに、わざわざイバラの道を自分たちで選んでしまいました。 挑戦して、成長し、証明した部長たち 小泉さんや他の部長たちが、一番率先してヒエラルキーをぶち壊し、ゼロからの再スタートをし、その後全員が成功したことで、ISAOでは若くても、多少歳をとっていても「経験がないからできない」という言い訳は通用しなくなりました。 **「いくつになっても挑戦できる」「成長に年齢は関係ない」**というこの実績は、バリフラットの副産物として最も大きな資産になりました。 ISAOでは、歳や経験がないことは、挑戦できないことの言い訳にならないのです。 このようにバリフラットの仕上げは、僕にとって思ってもみなかった展開でした。 ISAOや僕の背中をドンっと押してくれた、サイコーにファンキーな当時の部長たち、ありがとう!! 続きはコチラ➡ バリフラットができるまで ⑥〜フラット化の総仕上げと部署の消滅...バリフラットができるまで ④〜オープンが先か、フラットが先か~
「何から始めるべきですか?」 オープン&フラットの思想を組織に取り入れていきたいと考えている経営者や、部門長の方からよく聞かれる質問です。 オープン化が最も重要 結論から言うと、「オープン」の重要性はフラットの数十倍高く、そして順序としてもまず初めに手を付けるべきものだと考えています。 もっと言えば、バリフラットの考え方は**「オープンに始まり、オープンに終わる」**と言っても過言ではありません。 オープンの重要性と、オープンにするために必要な準備については「② 〜オープン化の前に説明できる状態に」で説明しているので、そちらを読んでいただければ。 オープンにすべきもの 究極に言えば**「すべて」**ということになるのですが、基本的にオープンにすべきものを列挙したいと思います。 【絶対にオープンにすべきもの】 会社の活動に関する考え方や、その結果(数字)などは必ずオープンにすべきものです。 ・経営者の考えの発信(カルチャー、ビジョン、戦略など) ・会社及び、各事業の損益計算書、貸借対照表(PL/BS) これらをオープンにすることで、マーケットの中で、自分たちの置かれている状況がわかるようになります。 別の言い方をすると、すべてにおいてのスタート地点である**「現状の理解」**を皆で共有することができるようになるのです。 【できればオープンにすべきこと】 お金の使い方に関することもできるだけオープンにしていきたいことです。 ・経費(交際費など含め) ・給料と評価 これはハードルが高いと感じる人が多いのですが、これらをオープンにすることで、フェアネスが向上し、個人の成長への取り組みが加速します。 なぜ給料をオープンにすると、成長することができるのかは過去こちらで書いています。 https://blog.colorkrew.com/open-management03/ フラットにはいつするのか? オープンな環境になってくると、それまでの階層型組織での無駄な活動(長いレポーティングラインや、報告するためだけの資料づくりなど)が浮かび上がってきます。 それを感じたら、少しずつ階層を取り除いていくのです。 例えば、ISAOであれば、2011年に**「管掌役員制」を廃止**しました。 管掌役員制とは、僕も含めた役員が、部長を管掌するという制度です。 風通しが良くなり、部長と管掌役員の役割が重複していることに気づいたため、すべての役員に、「部長」という役割を持ってもらうことにしました。 その後、「部長」「グループ長」も役割が重複してきたので、役職者は「部長」だけに集約しました。 大切なことは、今までの組織を温存せず**「いまどんな組織が最適か」**を常に考え、その結果に従って組織を再編していくことです。 いかがでしょうか。 まずはオープンを進め、それによりコミュニケーションが変わり、最適な組織の形が変わっていくというイメージが湧いたなら幸いです。 続きはコチラ➡ バリフラットができるまで ⑤〜バリフラットにした瞬間の話...バリフラットができるまで ③〜多数決では改革はできない~
前回は、オープン化の前に「説明できる状態をつくる」ということについて書きました。 バリフラットに至るまでは、「いままでの状態」をかなりドラスティックに変えていく必要があったのですが、その時にどう決断し、どうドライブしていくべきなのかという話を今回は書きたいと思います。 なぜ変化することが必要なのか 組織は生き物です。 ですから、どんな会社でも、状況に応じて変化していかないと、段々疲労を起こして、そのうち機能不全に陥ります。 作った当時は意味のあるルールややり方であったとしても、長い間同じものを運用していると、余計なものがくっついてきたり、時代に合わなくなってきます。 作った当時の精神を持続し続けることも不可能ですし、周りの環境はすごいスピードで変わっていきます。 よって、どの会社でも**「変化しなければならない」**ということは必然なのです。 改革は痛い!? 時代に合わなくなってきても、変化できる組織は多くありません。 変えられずに惰性で同じことを繰り返すだけの組織は、当然パフォーマンスが落ちていきます。 「改革をしなければいけない」 多くの人は感覚的にわかっています。 でもできない。なぜか。 簡単に言えば、**「改革は痛い」**からです。 既得権益を失うことや、自分がやっていることを変えていくことに、人は自然に抵抗します。 ですから、改革がドラスティックであればあるほど、「やりたくない」と思う人が多くなるのは当たり前なのです。 多数決は取ってはいけない 決める時は多数決をとってはいけません。 それは、多数決を取れば、多くの場合**「変えない」勢力が勝つから**です。 **リーダーが覚悟を持って決める。**それしか改革をする方法はありません。 民主的に話をする 多数決をとってはいけないと言いましたが、それは「一人で勝手に決める」ということではありません。 たくさんの人と話しをしなければなりません。 また、元々の自分のアイデアにこだわることも禁物です。 人と話すと、自分一人では見えなかった側面も見えるようになりますし、それが見えることで、決断の方向性を変えなければならないこともでてきます。 リーダーはしっかり話した上で、自分のアイデアをブラッシュアップし、決断をするべきなのです。 多数決ではできなかった決断の例 ISAOで過去決断し、変化したもので、多数決では絶対にできなかったことの例を少しあげてみたいと思います。 ・昇格の英語基準の導入 チームのグローバル化に必要な英語基準の導入。90%くらいの人がNOだったと思います。 ・デスクの間仕切り/モニターの撤去 社内の見晴らしをよくするという目的で、デスクの仕切りや、居室の中心部のモニターを撤去しました。 特にエンジニアからは大きな反対がありましたが、のちに壁際に高精度モニターをたくさん置くことになり、なんとか理解を得ました。 ・日本語を全く話せない外国人の採用 「効率が落ちる」ことは間違いなかったのですが、中長期でのチームのグローバル化を見据え実行。 みんなで苦しみながら、チーム作りをやってきました。 ・小さい昇給の廃止 以前は**「月一万円の昇給」**などがありましたが、2011年に細かい昇給を廃止しました。 本題と外れるので詳細の理由はここでは割愛しますが、当時のマネージャーたちのほとんどが反対しましたが、押し切って廃止しました。 ・自社サービスへの投資 特に始めたばかりのころは、「なんで自分たちが稼いだ金を、いつ収益化するかわからないサービスに投資し続けるのか」という人が多くいました。 このように、クリティカルで、賛否が別れる決断であればあるほど、多数決ではなく、リーダーが責任をもって決断しなければなりません。 **「いつも多数決で決めてた」**という方は、ぜひこのやり方を試してみてください。 連載④〜オープンが先か、フラットが先か へ...バリフラットができるまで ②〜オープン化の前に説明できる状態に~
前回の記事ではバリフラット組織には、オープンにすることが重要であったことお伝えしました。 ※連載記事①: 〜バリフラットは目標ではなく、結果だった 今回はその「オープン化」の前にしなければならないこと、また実際にISAOで何に取り組んだのかを書きたいと思います。 2010年、新生ISAOに着任 2010年4月1日にISAOは元の親会社のCSKから、豊田通商に売却され、僕は豊田通商の社員として出向でISAOに送り込まれた落下傘経営者として、ISAOにやってきました。 しかし、僕が実際にISAOに着任したのは2010年6月21日でした。 新しいISAOのスタートに間に合わなかったのは、その前の仕事(ドイツ)での引き継ぎに少し時間がかかったことが原因です。 ですから4月からの新ISAOの代表には、豊田通商の先輩がまずなり、その後10月で代表を引き継ぐことになりました。 だれも僕を知らないというスタート 僕は小学校の時に、2回転校した経験があります。 1度目の転校では、その地方の言葉がなかなか話せないという問題もあり、かなり苦労した記憶があります。 イジメみたいなものも経験しました。 ISAOに来た時も、ある意味転校生のようなものですから、どんな展開になるのかドキドキしました。 上述したように、10月まではタイトルもなく、中途半端なポジションでしたので、幹部の人たちを除き、160人くらいいたほとんどの人たちは僕のことを全く知らない状態でした。 当時よく喫煙室で仲良く話をしていた女性社員は10月になるまでの3ヶ月ほど、僕が新しくきた営業の人だと思っていたみたいです。笑 ともあれ、誰も僕のことを紹介してくれませんし、ITサービスは全くの素人だったこともあり、ほぼ透明人間のように過ごしていました。当時の役職者の人たちからも**「中村さんはあんまりわかってないでしょうから、事業に関わらなくて大丈夫です」**と言われ、仕事もほとんどなく、完全におミソ状態でした。 ただ、おかげでいろいろな人と、変な遠慮なく話ができましたし、親切な同僚がわからないことなどを教えてくれたおかげで、この期間は僕にとっては非常に重要な時間となりました。 あと、席の近かった2人がかなり構ってくれて救われたことを付け加えておきます。 リョウさん、ヒデさん、ありがとう。いまでも感謝してます! 情報クローズの闇 しばらくすると、いくら情報が閉ざされているとはいえ、徐々に僕が10月に代表になることを知って話かけてくる人が出てきました。 その中で、営業マンがいたのですが、その人は**「この会社の給料は不公平すぎる」**と僕にクレーム(?)を言ってきたのです。 今のISAOは給料が完全公開されているので、調べるのは簡単ですが、当時はそういうものはありませんので、無理やり人事の人に一覧表を作ってもらいました。 (かなり怪訝な顔をされた気がします) するとびっくりするような現実が浮かび上がってきました。 「給料」がめちゃくちゃなのです。 多くの人が、仕事のレベルと給料のレベルが合っていない。 トップ営業マンの給料が、コーポレートのアシスタントの人よりもずっと低かったり、若手で活躍している人が不当に低くて、年齢が高い人が相対的に高い給料になっていたり。 前職の条件をただ引きずってしまっていたり、局所的には好き嫌いが人事にでていたのかも知れません。 しかも、細切れの情報や、噂が飛び交い、みんなが疑心暗鬼になっている。 これはヤバいと思いました。 給料をゼロベースで見直す 先のブログで「オープン化が重要」と書きましたが、実はオープンにするためには、まず**「説明できる状態」**にする必要があります。 給与体系の見直しと人事制度の刷新が急務と判断しました。 当時の幹部の人たちと相談し、12月頃から、役職者を集めて、一人一人の人材価値を、計3日かけて話し合いました。 意見の相違があれば、満場一致になるまで時間をかけてやりました。 これによって、縦横斜めの角度から全社員のバリューを判断し、新しく作った等級(11段階)に当てはめていく。 評価として、年収で200万円くらい上がる人がいる一方、100万円以上下がる人も結果として出ることとなりました。 あまり原資を考えずに、まずが絶対的に判断しようとみんなで決めてやったのですが、面白いことに結局給料の総額はほとんど同じになりました。 大荒れした人事評価の通達 2011年4月に新しい等級制度はスタートしましたが、通達はその2ヶ月くらい前から行いました。 給料が上がる人は全く問題ありませんが、評価がいままでの給料よりも下がる人に伝えることは辛い仕事でした。 突然**「あなたは、今の給料の価値はありませんので、給料が下がります」**と伝えられたら誰もいい気はしませんし、怒る人や、じゃあもういいやと辞めてしまう人も出てきます。 給料を上げるのは即時、下がる場合は調整給で2年かけて調整する制度を作って運用をしました。 人事評価は「神の領域」 人事評価に完全な正解はありません。 人のやることですから、エラーもあり得ます。 僕は、人事評価に関しては常に**「神の領域」のことを人間がやっているのだから、自分たちが常に間違っている可能性があることを意識**しながらやらなければならないと思っています。 また、人事評価は「その会社の」評価であって、「マーケットでの評価」とも完全に同じものではないことも理解しなければなりません。...Let’s Throw it Away: Authoritarianism Every Organization May Fall Into
What is authoritarianism and anti-authoritarian? Hi, this is Keiji Nakamura, the CEO of ISAO corp. I know this is sudden, but I am an ‘Anti-Authoritarian’. I, speaking from my experience of working in various organizations, personally believe authoritarian is not the right concept in work and am trying to create and work in teams without it....中村流コーチング公開します!
コーチングの定義 コーチングは、コーチが対象者(以下:メンバー)に対して教える(ティーチ)のではなく、問いを繰り返すことでメンバー自身が持っている考えを引き出すことだと定義されています。 新卒であったり、まだ社会人経験が浅い人に対しては、ティーチングの要素をミックスしながらコーチングをすることになりますが、今回は**「コーチング」**に特化します。 以前ISAO流コーチングについて書きましたが、今回は僕自身のコーチングについてより具体的に書きたいと思います。 コーチはメンバーと同じ職種である必要はない ISAOでは、コーチの指名は本人の自由です。 僕に関して言えば、現在は3人からコーチに任命されています。 僕の元々の職種は「営業」です。ですから、専門的なことを伝えられる(教えられる)可能性があるのは、営業のことか、ビジネスに関してになります。 一方、僕をコーチに選んだ人の中には、エンジニアもいます。 その場合、もちろん専門的なことは教えることはできません。 ではどうやってコーチングをするのか。 コーチング前の事前準備 コーチがまずしなければいけないことは、そのメンバーの現状や、思いを理解することです。 事前準備では、メンバーの周りの人がメンバーをどう評価しているか、可能であればヒアリングします。 また、日常会話を重ね、カジュアルに話せる関係性をまずは作っていきます。 ここまで準備できたら、最初の1on1のミーティングを設定します。 2つの1on1ミーティング コーチングをスタートするために、僕の場合は2回のミーティングを設定します。 1回目は1時間半~2時間。2回目は1時間で設定します。 なぜ二つに分けるかの理由は、レイヤーの違う課題をしっかり認識して話す必要があるからです。 1回目のミーティングは、**「ファンダメンタル」について、2回目のミーティングは、「スキル」**にてついて話します。 第一回1on1ミーティング ~ファンダメンタル編~ ファンダメンタルのミーティングでは、2つのことを話します。 一つは、ビジネスパーソンとしての基礎力です。 例としては下記のような項目があります。 有言実行すること(実行だけでなく、宣言することも重要) タスク管理 社会人としての様々な場面でのコミュニケーション能力 時間管理 仕事以外の一般常識をどれだけ持っているか(リベラルアーツ) この項目が増え、一つ一つのレベルが高くなればなるほど、低次なレベルの判断に頭を使うことがなくなり、より高いレベルの判断をしながら仕事ができるようになります。 この時に使うフレームワークは・・・ ①1~2年後のあるべき姿では、基本動作がどのレベルになっているかを考える。 各項目と、そのレベル(1~5) ②それぞれの項目に関して、現在の自分のレベルを考える ③ギャップを理解する ④あるべき姿に向けて、毎日意識して繰り返すことを決める ⑤毎日振り返る(自分自身で記録をつける) もう一つは、仕事の環境についてです。 成長するために、いい環境が作れているか。 この時に使うフレームワークは、こんな感じです。 これらの象限で、自分がどの象限にどのくらいの割合で時間を使うべきかと、現状の割合をまず考えます。 そこにギャップがうまれるので、その割合をどう修正していくのかを具体的なアクションに落とし込みます。 例えば、若手で、仕事に追われているけれど、成長実感のない人はこんな割合の人が多いです。 重要ではない仕事が多く、かつ長期で重要な仕事を全くできていない。 この場合は、重要ではない仕事を止めたり効率化することで、割合を減らし、出来るだけ「緊急ではないが、重要」な仕事に時間を振り分けていくことが重要です。 その際、コーチとして最も重要な役割は、周りとの調整があれば解決を手伝うことです。また、ツールの導入をするなどで効率化できる仕事は、一瞬コストがかかってでもやるべきかをバランスよく判断することです。 第二回1on1ミーティング ~スキル編~ 二回目のミーティングでは、スキルについて話します。...縦割り、階層が組織を滅ぼす。今、時代が求める【新・組織論】
新しい組織づくり、どうしたらいいの? 現状、なんとなく機能していない組織をどう変えていけばいいのか。 多くの経営者、管理職は悩んでいます。 最近流行っている上下関係や管理をなくしていく**「ティール型」組織**はどうだろう。 今の組織と比べてとてつもなく遠い感じがする…。 逆に、「部下のモチベーション管理はしなくていい」「社長は社員と話してはいけない」など、「階層強化型」組織。 それってみんなのやる気は出るんだろうか? ISAOは**「バリフラット」**というティールで言われているような内容に比較的近い組織運営をしていますが、実は「こういう形にしよう」といって組織づくりをしているわけではありません。 形から入ろうとすると間違う!? 僕は「形」から入るだけでは、結局いい成果を出すことはできないと思っています。 「じゃあどうしたらいいの?」 僕が思うのは**「大切なのは形ではない。何を目的にして組織づくりをするか」**です。 当たり前の話ですが、組織は人の集まりです。 人には個性があるように、人の集まりである組織にも個性があります。 ですから、「すべての組織にはこれが正解だ!」なんて組織論はないのです。 これからの組織運営のセオリーを考えてみる ここで終わってしまうと身も蓋もありませんので、ISAOを例にとって「これからの時代の組織運営」について考えていることをお伝えしたいと思います。 「ISAOを」と言っていますが、これは多くの会社に当てはまるはずです。 特に下に書いた**「目的」が一致するものがある会社は、ぜひそれに続く「目標」や「手段」**を参考にしてみていただければと思います。 組織運営について、3段階に分けて考えてみましょう。 目的:最終的に実現しようとしている事柄 目標:目的を実現するために、やらなくてはならないこと 手段:目標を実現するために行うこと ISAOの組織運営の目的・目標・手段 ■「目的」 会社として:掲げるミッション・ビジョンを徹底的に目指す組織であること 社員に対し:社員が、成長する環境を提供し続けること 世の中に対し:組織づくりを革新し続け、世の中の組織づくりのリファレンスになること ■「目標」 価値観を醸成していくこと 権威による上下関係が生む人間関係の不要なストレスをなくし、健全な厳しさの中で仕事ができる環境をつくること スピードを上げた運営をすること ■「手段」 価値観の醸成 健全な厳しさ→オープンで実現 スピードを上げた運営→フラットで実現 と、ここにきて初めてオープン&フラットという言葉がでてきました。 「手段」は時代によって変化する 上記の目的・目標・手段のうち、目的と目標は中長期で変化しないものとして捉えています。 逆に「手段」は目的や目標を叶えるためであれば、時代によってどんどん変化していっていいものであると考えています。 現段階のISAOにおいて、最も自分たちの目的に近づくための有効な手段がオープン&フラットであるということなのです。 オープン&フラットについては過去のブログで色々書いているので、ご興味ある人はこちらからどうぞ。 縦割り、階層型の組織が、なぜ致命的にダメなのか ではなぜこれからの時代において**「縦割りと階層が組織を滅ぼす」**のでしょうか。 ”前”世紀、特に高度成長期には、こういった組織が有効でした。 それは「やることが決まっていた」からです。 20世紀は**「プロダクト(製品)の世紀」**でした。 全てのプロダクトがまだまだスペックアップを目指していて、消費者もそれを求めていた。だから今までの延長線上で目標を決めることができた。 ですから、過去実績のあるシニアを階層の上に置き、その人の知見で事業をリードすることができた。また、それぞれの部門がそれぞれのパートをしっかりやっていれば、プロダクトを進化することができた。 そういう時代でした。...バリフラット組織のつくりかた
階層型で膠着した組織を、オープン&フラットで生まれ変わらせた手順をISAOの実例を通じて語ります! 主に、2010年〜2012年の3年間にISAOで行なった改革について一つ一つお話しします。 いま階層型組織で、今後もっとフラットな組織づくりをしたいと思っているマネジメントの方に参考にしていただければと思っています。 バラバラだった給与制度の改革 2010年当時の状況 中途採用が95%以上で新卒入社がほとんどいないISAOは、入ってくる前の会社での条件の延長で、給与が個人個人決められていました。昇給についても、当時の組織では上司のさじ加減一つで決まってしまう。 これを「全社に納得してもらえる給与制度」にすることが課題でした。 等級制度をつくる まず、新入社員からハイレベルのシニアまでをカバーする「等級制度」をつくりました。各等級に求められるレベル感を定義しました。 結果として、300万円から1300万円くらいまでの年収を12等級で表現できるようにしました。 *現在は11等級で410万円〜1500万円と変更されています 当時70名程の全社員を、全て等級に当てはめるための会議を、部長レベル以上7人程度が集まって、一人一人について話し合い、3日間かけて、等級を決定しました。 新等級制度は2011年4月に開始されました。 一人一人に等級を伝える ここまでのプロセスで、等級制度と、社員全員の等級が決まりました。 ここで何が起こったかというと、ほとんどの人の給料が上がったり下がったりしました。 全体としては、ほんの少しだけ給与水準は上がりましたが、個々人としては、年収で200万円以上上がる人もいれば、200万円以上下がる人も出てしまいました。 上がる人に伝えるのは簡単ですが、一番大変だったのは下がる人にしっかり説明することでした。 上述で決めた、等級定義を元に、上司たちが一人一人に丁寧に説明していきました。 中には納得ができないと、かなり揉めたり、それなら辞めるといって辞めていった人もいました。 ISAOは当時62ヶ月連続赤字の真っ只中でしたので、このタイミングで会社に見切りをつけた人もいたと思います。 調整給で変化をなだらかに 説明は終わりましたが、いきなり年収が何百万円も変わってしまうと、各社員への生活に大きく影響してしまうので、下がる人には調整給を適用しました。 これは2年間かけて、決定した等級に徐々に給与を合わせていくというやりかたです。 *新等級によって給料が上がる人は即時適応しました。 情報公開はどうしたか 大きな痛みを経て生まれた等級制度(給与制度)ですが、いまのISAOのように「フルオープン」ではない状況で、等級(=給与)の公開にはすぐに踏み切れませんでした。 はじめに決めた等級が、本当に正しいものかを見定めていくのも時間が必要でした。 個人個人と話し合い、ようやく適正だと思われる等級構成になるのに3年、最終的に、全員の等級を公開するまでに5年がかかりました。(2016年) その後は、等級を全公開することはもちろん、昇降級の情報もタイムリーに社内コミュニケーションサービス「Goalous(ゴーラス)」を使って公表するようになりました。 次回は「給料を公開することで起こった素晴らしいこと」です。...スペシャル対談!オープンな経営で切り拓く未来(3/3)
ダイヤモンドメディア株式会社の代表取締役 武井浩三さんををお招きしての経営対談。 第一回「ホラクラシー経営とバリフラット経営」に引き続き、第二回「本音で話す給与と評価」では普通の会社ではなかなか明かされないキワドイところまで赤裸々に! 最終回である今回は、お互いの目指すビジョンについて語り合いました。 第三回「互いが目指す未来の姿」 ダイヤモンドメディアは自然の摂理に従って 中村 そろそろ対談をまとめていきたいのですが、今後の武井さんとダイヤモンドメディアがやっていきたいこと、実現していきたいことを教えてください。 武井 僕は経営という意味ではまず、株式の部分まで含めた再現性の高い経営システムを作りたいですね。 事業的な側面では、競合他社がいないマーケットを自ら作っていますし、参入障壁も高いので、本当に良いサービスをじっくり構築していきたいと考えています。 ダイヤモンドメディアには、経営計画や企業理念、ミッションやビジョン、クレドみたいなものは一切ありません。 会社は植物のように勝手に成長していくと考えているので、成長に邪魔なものを取り除く作業を突き詰めてやっていきたいです。 ただ、こういう経営も業績的な結果を出さないと世の中は耳を傾けてくれないと思うので、業績にもこだわっていきたいと思います。 中村 そういう意味では世にいうビジョナリーカンパニー的な考え方とは違った経営をされているんですね。 武井 そうですね。 自然の摂理に則った状態を作りたいなと考えています。 言ってしまえばそれがビジョンなのかもしれませんが、「うちの会社はこの業界でこうして行こう」みたいな物を掲げるつもりはこれから先も全くありません。 中村 自然に人のあるがままに組織を運営していれば、そこから自発的に価値あるものが出てくるだろうという考え方でしょうか。 武井 そのほうが世の中が必要としているものをちゃんと提供できると思いますし、世の中に必要とされないものをエゴで作ってしまうこともないと考えています。 とにかくプロセスを大事にし、みんなで共有していいものを作っていくということを続けていきたいと考えています。 ISAOはビジョンを叶えるために 中村 考え方の立て付けと順番は僕とちょっと違いますね。 僕はやはり「やりたいことがあるべきだ」と考えています。 それがISAOのミッション、ビジョン、中期ビジョンであり会社の方向性をざっくりと決めています。 そこに向けて、世の中をこう変えたい!という熱い情熱が必要だと思っていますし、そのために僕たちは集まっていると思いたいです。 ただ、それをやっていく中で派生するものは積極的に受け入れていきます。 武井 そういう考え方のアプローチもありますよね。 中村 これからのISAOの経営課題は、業績V字回復からの成長をさらに1段加速させるための経営をしなければいけないと考えています。 フラットでオープンで楽しいこのISAOを守るために、自分たちが強くならなければいけません。 ISAOのミッション・ビジョンを叶えていくためも、楽しさとともに厳しさも持ち合わせたチームにしていく必要があると感じています。 今日の対談では、お互いの共通点や違いについて深く知ることができ、気付きもたくさん与えて頂き、とても勉強になりました。 ありがとうございました。 武井 ありがとうございました。 お互いの組織の在り方や目指すものについての理解が深まったところで今回の対談は終了。 しかし、話は尽きることなく、この後も場所を変えて熱く熱く語り合ったのでした。 武井さん、どうもありがとうございました! 対談のお相手 武井浩三さん ダイヤモンドメディア株式会社 代表取締役 共同創業者...スペシャル対談!オープンな経営で切り拓く未来(2/3)
ダイヤモンドメディア株式会社の代表取締役 武井浩三さんををお招きしての経営対談。 第一回「ホラクラシー経営とバリフラット経営」では、お互いの紹介に始まり、なぜそのような経営に行き着いたかという話などで盛り上がりました。 今回は、給与や評価といった生々しい話題に踏み込みます! 第二回「本音で話す給与と評価」 価値ある人をどのように評価するか 中村 ちょっと話題を変えまして・・・ 意味もないのに威張っているのはムカつく的な話が先程ありましたが、実力のある人はやはり自然発生的にリーダーっぽくなっていくんだと思うんです。 ヒエラルキーではないけれども、誰かが先を歩いてそれについていく人がいるみたいな。そういう、フラット経営の中に生まれるリーダー的存在はどう扱っているのか気になります。 武井 ダイヤモンドメディアの給料はベーシックインカムを厚めにしているのですが、「実力給」という給与制度があり、その部分が変動給となります。 それを半年に1回全社員で決めなおしています。 中村 上限値とかはあるんですか? 武井 いや、ありません。 給与には職務給と職能給という2つの考え方があるじゃないですか。 職務給は仕事自体の価値を評価、職能給はその人の知識や能力を評価だと思うのですが、それだけでは正しく評価できないと思っています。 例えば「ムードメーカー」だったり「なんか物事を上手く進められるキャラ」だったり。 中村 表現が難しいけどたしかに価値がある人っていますよね。 武井 はい、そういう力の定量評価って難しくて、評価制度にしきれないと思っています。 中村 神のみぞ知る感はありますよね。(笑) 武井 360度評価なんかもやってみたのですがしっくり来ず、「他人が他人を評価する」ということ自体をやめました。 ではどうやって決めているのかというと、株価のように市場の相場に照らし合わせる形で決めています。 給料をすべてオープンにし、市場価値や個人間の格差バランスをみて決めています。 給与もオープン!その名も「お金会議」 中村 給与幅はどのくらい生まれるものなんですか。 ISAOだと350万円から1,200万円くらいで、30代前半で活躍している人は900万円台くらいな感じです。 武井 うちもそんな感じですかね。 平均年齢が28、29歳くらいで、平均年収が今500万円くらいです。 専門性が高い仕事なので、安すぎると採用ができないという実情もあります。 新卒で350万くらいから、上は900万円くらいですかね。 ただ、業務委託で働いてもらっている人は1,000万超えている人もいますね。 中村 給与の決め方が非常に興味深いですね。 みんなで「この人は700万円くらいありそうだ!」とか言い合う感じですか? 武井 給与のことは会社全体のお金の使い方を決める「お金会議」で決めています。 9年間の試行錯誤で見えてきたガイドラインをベースに決めているのですが、まずは「マーケットバリューに合わせること」ですね。 例えば、その仕事を外注化したらいくらくらいなのかとか、その仕事をする人を新規に採用したらいくらなのかとか、そういうことです。 みんなで集まって、能力の高い人がリードしながら話し合う感じです。 中村 業務委託の人も入って皆で決める感じですか。...スペシャル対談!オープンな経営で切り拓く未来(1/3)
ダイヤモンドメディア株式会社をご存知でしょうか? 不動産業界向けのWEBソリューションを提供しており、今大注目の不動産ソリューションカンパニーです。 更にこちらの会社、ホラクラシー経営をしていることでも有名なんです。 ホラクラシー経営のダイヤモンドメディア株式会社と、バリフラット経営の株式会社ISAO。 ・・・シ、シンパシーを感じる。 ということで、日本におけるホラクラシー経営の第一人者とも言える武井社長をお招き。 弊社代表の中村との対談が実現しました! それぞれの会社の経営者は、何を思いここに行きついたのか。深く話していくと見えてくる、お互いの違いとは?! ホラクラシー経営の先駆者たちが語り合う、21世紀の会社のカタチ。 全3回でお送りします。 第一回「ホラクラシー経営とバリフラット経営」 まずはお互いの組織について 中村 今日はよろしくお願いします。 まず、お互いの組織の紹介をさせていただいて、その後従来型の組織とホラクラシー組織、バリフラット組織の違いを話し、お互い学びあえればと思います。ISAOはIT業界の裏方としてB2Bでシステムや運営のリソースを提供したり、サービスをクライアントと一緒に作ったり、自社サービスを作ったり、ITの領域で多岐にわたる仕事をしています。 元々はCSKとSEGAのジョイントベンチャーから始まり、2010年から豊田通商グループの一員となっています。 売上の規模は約37億円、営業利益は約4億5,000万、社員数はアルバイト含めて約250人です。 武井 ダイヤモンドメディアは不動産フィンテックを生業にしており、不動産流通のB2B2BというマニアックなIT事業をしています。 顧客は不動産仲介会社さんや不動産管理会社さん、不動産投資家、個人オーナーなどです。 設立は2007年、稼働は2008年からで、不動産領域に特化し始めたのは5年ほど前からです。 人数は正規雇用が16、17人、フリーランス等が10人位で副業も自由です。 売上は2億ほどで、外部資本を入れずに黒字経営を続けており、出そうと思えば利益は5,000万ほど出ますが、現在は投資フェーズにあり、営業利益は1,000万ほどに意図的にしています。 中村 具体的には不動産業界にどんなサービスを提供しているのですか。 武井 説明が非常に難しいのですが……。 不動産仲介会社向けにCRM(Customer Relationship Management)のためのWEBマーケティングシステムを提供しており、それが主力ビジネスで売上の7割程度を占めており、4名がそのサービスを担当しています。 残りのメンバーはみな新規事業を担当しており、1つは不動産管理会社向けのリーシングマネージメントシステムです。 このサービスは、日本で弊社しか持っていない独特なサービスで、不動産管理会社が行っている業務を管理業務と募集業務に分けて定義し、今までカバーできなかった領域にフォーカスしたサービスになっています。 簡単に言うと、マーケティングオートメーションとSFA(Sales Force Automation)が合体したようなサービスで、不動産管理業務に特化しているものです。 セールス/マーケティングの部分を可視化して不動産管理会社の「募集業務」を分析できるサービスです。 2つ目が投資家向けのもので、それが自分たちを不動産フィンテックといっている所以なのですが、不動産資産は現金や他の金融資産と違い現物資産なのでネットでの売買が難しいんですね。 中古車と一緒で実際に物を見てみないと状態が判断できないんです。 であるがゆえに、仲介業者が入った相対取引が基本で、株のようにマーケットで売買できないんです。 様々な業界においてIT改革は中間業者やマージンを破壊することが多いですが、先程の理由から不動産業業界はそれが難しいので、我々は中間業者も含めて流通を最適化させたいなと考えています。 そこで、我々は中間業者が持っている稼働率などの情報を集約し、現在提携している会社の会計アプリと繋げて頂ければ、投資家さんが他の金融資産と同じ画面で不動産資産をマネージメントできるサービスを開発しています。 中村 な、なんとなくわかりました。(笑) 非常に情報がクローズされた業界で、いかに情報をオープン化するかという事業ですね。 武井 まさにその通りで、情報をオープン化すればその市場が勝手に健全化していくであろうと考えています。 そしてこの考え方はダイヤモンドメディアの経営スタイルにも通じるものがあります。 中村 いい感じで経営スタイルの話に繋いでいただきありがとうございます。(笑) そろそろ組織に関する話をしましょうか。...