今回は、コーチ制度をぶっ飛ばしたあとに、評価制度をぶっ飛ばした話をしたいと思います。
前回の記事はコチラ➡バリフラットができるまで ⑦〜コーチ制度をぶっ飛ばす
一般的な評価制度の問題
評価は上司がするもの。
多くの会社での評価制度はそうなっています。
当たり前ではありますが、上司は選べません。
僕自身も過去、色々な上司と仕事をしました。
素晴らしい上司に巡り会ったときは、素晴らしいコーチングをしてもらえました。
また、良くも悪くも的確な評価をしてもらえます。
逆に、相性が悪く、役職者としてのスキルと人格が十分備わっていない上司に当たると、どうしようもなく、ただただ「早く人事異動にならないかな」と祈るしかなかったことを記憶しています。
いま思えば、上司から見れば僕は厄介な部下だったろうし、嫌われていたこともありそうです。
このように、マッチしていない人がコーチ(上司の役目)になり、理解したくもないのに評価する制度には無理があるのではないでしょうか。
360度評価について
一方通行の評価の限界を打開しようとして生まれたのが360度評価です。 人事的には、マネージャーが一方的にパワフルになることを抑止できるいい方法だと思っています。
ただし「本当に評価するべき人」を会社がパーフェクトに選ぶのは至難の技でしょう。
であるならば、コーチと同じで自分で選んでしまえばいい。
こうした経緯で、ISAOの「評価者を自分で選ぶ」評価制度が始まりました。
こう説明すると、「自分に甘い評価をしてくれる人ばっかり選んじゃったらどうするの?」と、必ず質問されます。
オープンが全てを解決する!
全てがオープンなISAOは、もちろん、誰が誰を評価者に選んだのかもオープンです。 そうすると自然に、甘い評価者ばかりを選ぶわけにはいかなくなります。
周りの人が「あなたの評価者選定おかしいよね」となるからです。
さらに、コーチも評価者を追加できる仕組みで、よりフェアな評価者選びを実現しています。
ISAOの人事評価
ここで、ISAOの人事評価がどうなっているのかを少し説明します。
ISAOの目標管理は、Googleで採用されているOKRをさらに進めたGKAを使っています。
GKAとは、Goal(目標)ーKR(成果)ーAction(活動)の略で、目標をオープンにし、それに向かった日々の活動をどんどん共有するというシステムです。
Goalousは、GKAをベースにした社内コミュニケーションサービスです。
ISAOは、Goalousで過去の活動や進捗度合いを見て、印象ではなく、実際の活動をしっかり確認して評価するのです。
Goalous上で、各目標に関しての評価をして、その上で「総合評価」を行う。
総合評価は、 定性的に・・・ 評価できることや、その人の今後の課題など 最終評価・・・ 等級を上げるべきか、そのままか、それとも下げるべきか
これらのフィードバックを目的にしています。
等級を上げるべきか、下げるべきかは、非常にセンシティブなものですが、結局はっきり意見を言うべきだという考え方で、評価者全員にしっかり意見を言ってもらうようにしています。
バリフラット2.0は、評価を全社にオープンに
バリフラットより前から、ISAOは、自分に対して評価者がどういった評価をしているかをフィードバックしていましたが、他の評価者のフィードバックは確認できませんでした。
バリフラットを始めて3年経った2018年のことです。 社内からの声により、バリフラットを更に進化させようと、「バリフラット2.0」プロジェクトチームが作られます。
評価に関しては、**「全ての評価を全社員にオープンにする」**という意見がでてきます。
これは2.0へのアップグレードの目玉の一つとなりました。
最初にそれを聞いたとき僕は、正直「そんなことは出来るわけないし、反対が強すぎて、難しい」と思っていました。 そこで、思い切ってみんなに聞いてみました。
すると、ほとんどの人から「問題ない」「そうすべき」と答えが返ってきたのです。
僕のオープン哲学を、TeamISAOが上回った瞬間でした。
僕にとっては、バリフラットになる瞬間に部長に背中を押されたときと同じレベルの衝撃でしたが、ISAOにきて一番嬉しかった出来事の一つになりました。
評価をぶっ飛ばして変わったこと
主体的にコーチや評価者を選ぶ。
評価を全てオープンにする。
それは、チームに大きな変化と進化をもたらしました。
まず「会社が決めているからアンフェアになっていて、それを我慢している」という問題を、全ての人からなくすことができました。 精神衛生が圧倒的に良くなったと思います。
また、より多くの人が評価者に選ばれたために、「人の評価をする」という一部の人が持っていた権利が、チーム全員のものになった結果も進化と言えるでしょう。
さらに、評価のオープン化によって、評価する人のコメントの民度も格段に上がりました。
評価が完全にクローズな時代は、本人には見えないこともあり、投げ捨てるようなひどいコメントも散見されました。
本人にフィードバックするようになってからは、言葉遣いに気を使うようになりました。
そしてさらに、全員にオープンになったことで、その内容が本当に意味のあるものかを考えて評価をするようになったのです。 きちんと見てなかったり、印象や好き嫌いだけで評価したりをする人は、周りから尊敬を得られないということが、自然に理解されるようになったのです。
いかがでしたでしょうか? 人事制度や評価は会社の根幹です。
どの会社もそれらをアップグレードすれば、新しい時代を切り開けるチームに近づくのではないでしょうか。