今回は「コーチ」という課題にどう取り組んだかを書きます。
それまでの組織での「役職者の役割」を考えてみた
バリフラットの枠組みを決める経営合宿で、プロジェクトリーダーを決めることで、事業運営に、役職者が必要ない仕組みにした話を前回書きました。
前回の記事はコチラ➡バリフラットができるまで⑥〜フラット化の総仕上げと部署の消滅
しかし、役職者の担っていた役割はそれだけではありません。
役職者たちは、その部のメンバーたちを評価したり、コーチングしたりと人材育成の観点で、非常に重要な役割を担っていました。
役職者のないバリフラットで、それらをどう担保するのか。ISAOが考えたのはコーチ制度でした。
コーチの役割は、メンバーと「キャリアプラン」を話し合い、その成長に貢献することと定義しました。
初期のコーチ制度
バリフラットスタート時のコーチ制度は、全体を見渡している経営メンバーたちが、個人個人に対して、適切だと思われるコーチ候補を数人提示し、本人にその中から選んでもらう、というものでした。
今振り返ると、成長に厳しく向き合わず、イージーな関係を構築できる相手を選んでしまうのではないか、社員一人ひとりがその人にとって適切なコーチを自分で選べないのではないか、と恐れていたのだと思います。
ISAOでのコーチは「360度評価の取りまとめ」という役割も担うので、自分と仲のいい社員をコーチとして選び、評価が甘くになってしまうことも危惧していました。
100%自分で選ぶコーチ制度に
バリフラットがスタートした2015年10月から2年間ほど、この仕組みで運用をしたのですが、会社が提示するコーチ候補がベストではなく、本人にとってみれば他の人がいいという状況がポツポツと起こり始めます。
そこで「コーチを変えたい」と申告をしてきた人は、都度話をして、経営メンバーが納得すればコーチを変えられるという仕組みにしました。
何回かそういった話し合いを繰り返し、僕たちは思いました。
「もう、自由に選べばいいんじゃないか」
こうして、100%自分で選ぶコーチ制度が始まりました。
誰が誰をコーチに選んでいるかは当然オープンなので、自然と規律をもった選択をみんながすることもその後証明されています。
オープンはこんなところにも効いてきます。
コーチ資格
とはいえ、コーチングにはスキルが必要です。
コーチの候補者には、社内コーチング研修を受けてもらい、コーチをやっている人たちが集まって、悩みを相談し合う座談会のようなものを開催し、コーチングスキルを高める取り組みをしています。
もう一つの課題。
自由に選択した場合、多くの人が自分と同じ職種のシニアをコーチに指名する傾向があるのですが、コーチングスキルが足りないために、スキルの話に終始してしまい、メンバーの成長をサポートできないケースが出てくることです。
その場合、本来の目的であるキャリアプランの相談相手になれないのであれば、自主的に降りてもらうことも含め話し合いをします。
コーチはボランティア
バリフラットの運営において、重要な役割を担っているコーチですが、コーチングでの手腕を評価してしまうと、結局昔の「中間管理職」的な考え方になってしまう危険があります。
そこでISAOはコーチとしての成果を、自分の評価に反映していません。
もちろん、チームに対しての貢献ではあるので、ある程度の底上げはありますが、コーチングの成果の評価はしないのです。
これは、コーチングに過大な時間をとってはいけないというメッセージでもあります。
どう効率的に、いいコーチングをするか。
これは永遠の課題ですが、しつこく取り組んでいきたいと考えています。
コーチのみ
会社だけのコミュニケーションだと、深い話がしきれないという理由で、コーチとメンバーが外でお酒も含めた食事をしながら話すことをサポートする制度が「コーチのみ」です。
コーチのみは、基本1対1での食事で、会社が1万円を補助するという制度です。
多くのペアがこの制度を利用して関係性を高めています。
人気コーチにメンバーが集まりすぎる問題
ボランティアといいつつ、コーチになればそれなりに時間が取られます。
そして、コーチとして人気のある人には、メンバーが自然と集まってしまう。
一人ひとりはそんなに時間がかからなくても、たくさんの人をコーチするとなれば、それなりに時間がかかってしまう。
また、一人一人とコーチのみしていたら、そのうち肝臓の問題も出てきそうです。
この問題はいまだに解決はしていません。
コーチできる人数制限を設けるかなどのアイデアも含め、今後解決していかなければならない課題だと思っています。
コーチは、いつでも変更可能
いまでは、自分の成長段階や、課題に応じて自由にコーチを変えることができるようにしました。
人事や経営のメンバーに相談する必要もありません。
自分で考え、自分で決める。
「自主性」を重んじた制度に進化しているのは嬉しいことです。
コーチを軸にした評価制度の確立
上述しましたが、コーチは360度評価の取りまとめ役を担っています。
360度の評価者をどう選ぶか。
次回は「評価制度をぶっ飛ばす」を書きます。
続きはコチラ
バリフラットができるまで ⑧〜評価制度をぶっ飛ばす