Amazon Alexaスキル開発・VUIデザインのお話 “オルビスの「今日のうるおい」” 編

こんにちは、中嶋あいみです。

ISAOがデザイン・開発協力をしたAlexaスキルがリリースされました!

オルビスの「今日のうるおい」

先日こちらのブログでもご紹介したように、VUIデザインスプリントワークショップを経て本開発が決定し、最近ついに皆さまへお披露目できることとなりました!

VUIデザイン・スプリント ワークショップ事例:オルビス株式会社様

Alexaスキルの概要

今回リリースしたAlexaスキル” オルビスの「今日のうるおい」”は、オルビスさんが1月1日に発売した肌の水分を逃がしにくくする」機能が確認された特定保健用食品『ORBIS DEFENCERA』の定着プログラムの一貫として提供しています。

Alexaスキルストアで「オルビスの今日のうるおい」を有効化し、対応デバイスに対して「アレクサ、今日のうるおいを開いて」と話しかけることで起動します。

ORBIS DEFENCERA(オルビス ディフェンセラ)とは

三浦春馬さんと黒田エイミさんのTVCMが話題の『ORBIS DEFENCERA』。

「肌の水分を逃しにくくする」機能が確認された特定保健用食品(トクホ)で、場所や時間を選ばずお手入れができるインナースキンケアとしても注目されています。

企画ゼロから開発に至るまで

こちらのブログでは、デザインスプリント後にどのようなデザイン・開発工程を経てリリースしたのかお話したいと思います。

デザインスプリントは3チームで実施し、みなさんの頑張りのおかげで1日でAmazon Echo実機で動くプロトタイプを3つ作ることができました。
ちなみに3チーム全く違うアイデアが生まれ、とてもおもしろい結果となりました。

  • メイクが失敗しちゃった時に対策を教えてくれるスキル
  • オルビス店舗の店員さんが在庫確認をできるスキル

そのうちの1チームのアイデア「オルビス ディフェンセラの飲み忘れを防止してくれるスキル」が、オルビスさん社内の中でも「いいね!」となり、ワークショップ終了の数日後に本開発のご相談をいただきました。

ディフェンセラ発売が1月1日、TVCMが流れるのが1月19日からということで、そのタイミングに合わせるよう急ピッチでプロジェクトがスタート!

プロトタイプと実開発の違い

本開発が決まった時点でプロトタイプ(Amazon Echo実機で動くもの)はできていたものの、エンドユーザーが使うものを作るにはプロトタイプでは事足りません。

エンジニアでなくてもノンコーディングでAlexaスキルを作ることができるツールはいくつもあります。
簡単なものなら5分や10分でも作れてしまうので、とても便利です。

コンセプト検証なら充分なのですが、もっとリッチなユーザー体験となると話は違ってきます。

例えば条件分岐。
朝の時間帯は「おはよう」、昼は「こんにちは」、夜は「こんばんは」とアレクサが発する場合などはプログラミングで条件を設定するため、ノンプログラミングツールでは対応できません。

他にも、ユーザー毎の飲んだ記録をつけるためにはデータベースが必要ですし、飲み忘れ防止のために「リマインダー」という機能を利用していますが、そういったこともエンジニアが必要になる領域です。

ユーザーテストで言い回しや想定外を洗い出す

開発の前に、VUIデザインの工程でユーザーが言いそうな発話をなるべく多くリストアップします。

例えば、「ディフェンセラはお持ちですか?」というアレクサからの質問に、持っているという意図(インテントと言います)を伝えるのに「持っています」とか「はい」と答える人も、「あるよ」と答える人もいるでしょう。

あるいは「もらった」と答える人もいるかもしれません。

なるべく多くのバリエーションを考えるのがVUIデザイナーの仕事の1つですが、強力なのは”何も知らない人”に自然に発してもらうことです。

なので、私はユーザーテストの工程をとても大事だと考えています。
ある程度動くものができたら、オルビスさんの中でこのプロジェクト以外の方に複数名ご協力いただき、一般の方になりきって使っていただきました。

このテストでの気づきを経て、翌日には開発中のスキルにバリエーションを追加したり、フローを見直したり。

一例を挙げると「リマインダーを変更したい」という意図で、「リマインダー」の言い換えワードとして予め用意していた「リマインド」「お知らせ」「通知」以外に「時間を変更したい」と話しかける方がいて、開発中のスキルに反映することができました。

リマインダー機能をONにすると、アレクサから通知が受け取れます。

スキル名が言いやすいか、覚えやすいか

同じくユーザーテストで、スキルの呼び出し名が言いやすいか、覚えやすいかというチェックもおこないます。

当初全く違うスキル名が有力候補だったのですが、テストの工程で違和感を感じるとか、わかりにくいという声が複数あり、検討した結果「今日のうるおい」に決定。

ちなみにスキルストアに表示される名称と、呼び出し名はイコールでなくても大丈夫です。

スキル名:オルビスの「今日のうるおい」
呼び出し名:今日のうるおいを開いて(起動して/スタートして)

人間らしいエンゲージメントを実現

オルビスの「今日のうるおい」は、一緒にうるおう肌を目指すパートナーとして、Alexaが応援メッセージや、肌や美容に関するTipsをお届けすることが実現したいことの1つ。
なので、システムと話をするのではなく、より人間らしい温かさを表現することにこだわりました。

例えば名前の呼びかけ。
スキルを起動するたびに「こんにちは(時間帯により変化)、○○さん。」から対話がはじまります。

これにはAmazonアカウントの名前アクセス権を利用するのですが、これがあるとないで印象が結構変わります。

名前情報はデータベースに保持されない、つまり個人情報取得には当たらないので、ぜひアクセス権はONのままにしていただくことがおすすめです。

その他にも、ユーザーが言葉を発した直後のAlexaのリアクションにも、「おー」「そうなんですね」など、人間が言いそうなバリエーションを加えています。

また、AlexaのイントネーションはSSMLという音声合成マークアップ言語を駆使し、なるべく自然になるよう調整を重ねていきます。

申請・リリース

オルビスの今日のうるおい_Alexaスキルストア

そして、1月末に無事スキルストアに公開!
実はAmazonさんからは申請リジェクトが3回ありました。

幸い不具合の指摘はなく、名前及びリマインダーへのアクセス権を利用することでの注意文言が必要などスキル内やスキルストアの文言の調整がほとんどでした。

スキルの内容によって指摘事項が全然違うので、毎回勉強になるところです。

また、Alexaスキル審査チームの方々はしっかり人力でテストしてくれているんだなぁというのがよくわかります。

ちなみにどこの国でリリースするかによって対応がかなり違っていて、日本のAmazonさんは基本的には翌営業日にフィードバックをいただけるので大変ありがたいです。

さいごに

おかげさまでスマートスピーカースキル開発のお問い合わせを複数いただいています。

時間や予算の都合があえば、オルビスさんのようにVUIデザインスプリント⇒本スキル開発の流れをおすすめしています。

ご興味のある方・企業様はいつでもお問い合わせください。

Amazon Alexaスキル開発支援

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

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