コーチングの定義
コーチングは、コーチが対象者(以下:メンバー)に対して教える(ティーチ)のではなく、問いを繰り返すことでメンバー自身が持っている考えを引き出すことだと定義されています。
新卒であったり、まだ社会人経験が浅い人に対しては、ティーチングの要素をミックスしながらコーチングをすることになりますが、今回は**「コーチング」**に特化します。
以前ISAO流コーチングについて書きましたが、今回は僕自身のコーチングについてより具体的に書きたいと思います。
コーチはメンバーと同じ職種である必要はない
ISAOでは、コーチの指名は本人の自由です。
僕に関して言えば、現在は3人からコーチに任命されています。
僕の元々の職種は「営業」です。ですから、専門的なことを伝えられる(教えられる)可能性があるのは、営業のことか、ビジネスに関してになります。
一方、僕をコーチに選んだ人の中には、エンジニアもいます。
その場合、もちろん専門的なことは教えることはできません。
ではどうやってコーチングをするのか。
コーチング前の事前準備
コーチがまずしなければいけないことは、そのメンバーの現状や、思いを理解することです。
事前準備では、メンバーの周りの人がメンバーをどう評価しているか、可能であればヒアリングします。
また、日常会話を重ね、カジュアルに話せる関係性をまずは作っていきます。
ここまで準備できたら、最初の1on1のミーティングを設定します。
2つの1on1ミーティング
コーチングをスタートするために、僕の場合は2回のミーティングを設定します。
1回目は1時間半~2時間。2回目は1時間で設定します。
なぜ二つに分けるかの理由は、レイヤーの違う課題をしっかり認識して話す必要があるからです。
1回目のミーティングは、**「ファンダメンタル」について、2回目のミーティングは、「スキル」**にてついて話します。
第一回1on1ミーティング ~ファンダメンタル編~
ファンダメンタルのミーティングでは、2つのことを話します。
一つは、ビジネスパーソンとしての基礎力です。
例としては下記のような項目があります。
- 有言実行すること(実行だけでなく、宣言することも重要)
- タスク管理
- 社会人としての様々な場面でのコミュニケーション能力
- 時間管理
- 仕事以外の一般常識をどれだけ持っているか(リベラルアーツ)
この項目が増え、一つ一つのレベルが高くなればなるほど、低次なレベルの判断に頭を使うことがなくなり、より高いレベルの判断をしながら仕事ができるようになります。
この時に使うフレームワークは・・・
①1~2年後のあるべき姿では、基本動作がどのレベルになっているかを考える。
各項目と、そのレベル(1~5)
②それぞれの項目に関して、現在の自分のレベルを考える
③ギャップを理解する
④あるべき姿に向けて、毎日意識して繰り返すことを決める
⑤毎日振り返る(自分自身で記録をつける)
もう一つは、仕事の環境についてです。
成長するために、いい環境が作れているか。
この時に使うフレームワークは、こんな感じです。
これらの象限で、自分がどの象限にどのくらいの割合で時間を使うべきかと、現状の割合をまず考えます。
そこにギャップがうまれるので、その割合をどう修正していくのかを具体的なアクションに落とし込みます。
例えば、若手で、仕事に追われているけれど、成長実感のない人はこんな割合の人が多いです。
重要ではない仕事が多く、かつ長期で重要な仕事を全くできていない。
この場合は、重要ではない仕事を止めたり効率化することで、割合を減らし、出来るだけ「緊急ではないが、重要」な仕事に時間を振り分けていくことが重要です。
その際、コーチとして最も重要な役割は、周りとの調整があれば解決を手伝うことです。また、ツールの導入をするなどで効率化できる仕事は、一瞬コストがかかってでもやるべきかをバランスよく判断することです。
第二回1on1ミーティング ~スキル編~
二回目のミーティングでは、スキルについて話します。
第一回目でやった、あるべき姿と現状とのギャップのフレームワークを使います。
特に職種が違う場合にはスキルについてのアドバイスはできないことが多いので**「あるべき姿」を考えるのは本人次第。**
それを会話しながら引き出していくのが、コーチとしてのスキルと言えるでしょう。
「この人みたいになりたい」と思い浮かぶ人を見つけ、その人が持っているスキルを洗い出す、という方法は最も有効です。
ぜひお試しください。
フォローアップ
ファンダメンタルについては、毎日やることを決めて、最低でも週一回自分で振り返る習慣をつける。
スキルに関しては、定期的に面談して定点観測します。
ミーティングをしょっちゅうするというよりも、お互いコミュニケーションする場をツール上で持って、必要な時にいつでも話すということが重要です。
ISAOの場合は、Goalous上で、コーチとメンバーで二人だけのサークルを作り、そこでコーチングする期間毎日会話しています。
大切なこと
と、ここまで色々説明してきましたが、最も大切なことは、コーチはしっかり仲間になって寄り添う。
そして共同で方針を決めた後はメンバーが自主的に運用していくことにつきます。
コーチは自分がやらせたいように誘導するのではなく、あくまでも補助として、サポートする気持ちが重要です。