「夏休み9連休とったら1万円もらえますよ。」
入社直後の福利厚生の説明でそう言われた時、私はこう思いました。
「今年の夏休みは1万円生活だな。」
それからある時、大学のトライアスロン部の後輩のSNS投稿が目にとまりました。
「今日から夏休み!インカレまであと2ヶ月、待ってろ観音寺!!」
そうだ、観音寺に行こう。
こうしてISAOの新入社員、青木匠の夏休みは、ロードバイクで1万円以内で香川県観音寺市まで自走し、トライアスロン部の後輩の応援をすることに決まりました。
旅のルール
- 法律を守ること。
- 移動手段はロードバイク。
- 使えるお金は支給された1万円のみ。
- 持ち物は「ロードバイクに安全に乗る」ために必要な最低限なものに限る。着替えや生活必需品は1万円の中でまかなう。
[caption id=“attachment_4273” align=“alignnone” width=“800”]
出発当日AM6:00。すでに暑い!コーラが恋しい季節だけどしばらく飲めないだろうな…[/caption]
Day1: 絶望、リタイアの危機!?
いざ出発当日。
会社の人たちからは「頑張ってね!」「ハプニング期待してるよ!」と言われてましたが、正直、私にとっては「香川まで自走」と「1万円生活」はそれぞれ難しいことではありません。
それを同時にやれば何かしら面白い旅になるだろうという思いでスタートした私は、3時間後、
財布を無くしました。
[caption id=“attachment_4283” align=“alignnone” width=“400”]
気づかぬうちに荷物が…(再現)[/caption]
早すぎるハプニング!
いつの間にか荷台のバックの紐が解けて、財布がコロリンとどっかに行ってしまっていたのです。
9日間0円生活か?
奇跡的に1万円はポケットに入っていましたが、とても大切にしていた財布を無くし、完全にメンタルブレイクしました。
どこにあるのか、全く検討がつかずに川崎⇄北千住を往復して探し回る羽目に。
それでも一向に見つからず、国道15号に落ちているのは靴下ばかり。
靴下、靴下、ベルト、靴下。
10枚目の靴下を見つけた時、完全に心が折れ、結局自宅へ帰りました。
最悪の出だしです。
〈1日目〉 現在地:自宅 残り:10,000円
Day2~3: たくさんの出会い
財布を諦めきれずに、2日目も探しながら進んでいきました。
それでもやっぱり落ちているのは靴下ばかり。
むしろ、ズボン、靴、メガネ、マント(っぽい布)…とトータルコーデできそうなくらいに衣服ゴミは増えていました。
そして蒲田まできたところで、私はついに見つけました。
おにぎりを。
潰れて六角形になった白い塊。ラップで2重に包まれたお米。初日財布と一緒に落とした手作りのおにぎりに間違いありません。
何より、いくら衣類ゴミが捨てられようと、国道15号に手作りおにぎりを落とす人は2人はいないはず。
この奇跡の再会は、これからの旅の幸運の始まりだと確信しました。
そしてこの幸運のおにぎりを1粒残らずいただきました。
[caption id=“attachment_4278” align=“alignnone” width=“800”]
少し黄色く、粘っこい。どんな味だったかは表情から察してくださいw[/caption]
おにぎりのおかげか、その後はとても順調な旅が続きます。
[caption id=“attachment_4279” align=“alignnone” width=“400”]
トライアスロン仲間と遭遇!観音寺でまた会おう![/caption]
去年までならこんな山余裕だったのに!と思いながら、ふらふらになって箱根も越えていきます。
[caption id=“attachment_4287” align=“alignnone” width=“400”]
ホントに辛かった!歳はとりたくないな。(22歳だけどw)[/caption]
[caption id=“attachment_4275” align=“alignnone” width=“400”]
2日目の宿、高橋さん宅。高橋さんは2週間前に南会津のペンションでたまたま同じ宿に泊まっていて仲良くなり、今回泊めてもらうことに。カレー美味しかったです!@沼津[/caption]
3日目はとにかく静岡を西へ。
[caption id=“attachment_4276” align=“alignnone” width=“800”]
中田島砂丘でお昼寝。快適すぎてここで野宿したい!って心の底から思いました。[/caption]
海岸でお昼寝をしていたら、通りかかったおばちゃんにおにぎりをもらいました。
やっぱり腐っていないおにぎりは美味しいですね。
[caption id=“attachment_4280” align=“alignnone” width=“400”]
3日目はトライアスロン部の先輩ゲッティーにお世話になりました。@浜松[/caption]
この頃から、1万円をやりくりするというより、どれだけお金を使わずにゴールできるかと考えるようになります。
〈3日目まで〉 現在地:浜松市 残り:9,136円
Day4~5: 豪雨、その先にオアシス。
4日目からは天気が崩れる予報が出ていました。九州では豪雨により記録的な被害が出ており、その雨雲とどこかでぶつかることは覚悟していました。
浜松から豊橋、名古屋、四日市と進み、亀山の手前まできたところでついに進めないくらいの大雨に。
隣を走るトラックの水飛沫は私より高く、海の中を漕いでいるかのようでした。
[caption id=“attachment_4284” align=“alignnone” width=“800”]
たまらず雨宿りに飛び込んだ工場の社長、”救世主”西川さん。市街まで送ってもらい、ラーメンをご馳走になり、ホテルまで用意してもらい、思いがけず贅沢な1日となりました。@亀山[/caption]
5日目も雨、雨、雨。
休むと寒く、心も折れてしまうので、ひたすらゆっくりと漕ぎ続けます。
そして姫路まできて夜を迎え、疲労困憊となった私の前に**「最高のオアシス」**が突然と現れました。
快活CLUB 姫路駅前店
みなさん知っていますか?漫画喫茶というのは漫画が読み放題なだけではないんです。
温かいスープが飲み放題。
充電もできる。
その上、シャワーも無料で浴びられます。
ここまで揃ってて30分206円!
まるでこの旅を助けるために作られたかのような施設でした。
〈5日目まで〉 現在地:姫路 残り:6,817円
[caption id=“attachment_4288” align=“alignnone” width=“800”]
結局寝床は姫路城の見える公園です。[/caption]
Day6~7: ついにゴールへ
6日目の朝、公園のベンチで爆睡した私は迷わず**「快活CLUB」**へ向かいます。
実は昨日利用している時に気づいてしまったのです。
「モーニング無料」であることに!
6時ちょうどに再入店し、スマホを充電。
5分でシャワーを浴び、食パンとフライドポテトをかき込む。
締めのオレンジジュースを飲んで、6時半に退場。
こんなに一生懸命快活CLUBを利用している人は他にいるんでしょうかw
[caption id=“attachment_4286” align=“alignnone” width=“800”]
晴れ間にちゃんと観光も。(5分後に土砂降りになります♪)@倉敷美観地区[/caption]
途中、岡山でうどんを食べていると、
「お前そんなひもじい生活してるのか!岡山にはもっとうまいもんたくさんあるからこれで食ってけ!」
と1000円テーブルに置いていってくれました。
[caption id=“attachment_4285” align=“alignnone” width=“800”]
うどん。岡山のおじちゃんありがとう。[/caption]
6日目は尾道まで。
造船ドックのスケールのデカさにびっくり。
[caption id=“attachment_4282” align=“alignnone” width=“800”]
6日目の宿は尾道駅のベンチ。どこでも寝れちゃう人間で良かった。[/caption]
7日目はしまなみ海道を渡っていよいよ四国へ!
天気の良い日に行きたかった!
[caption id=“attachment_4289” align=“alignnone” width=“400”]
唯一晴れていた伯方島。他の島も晴れていたら綺麗だったんだろうなー[/caption]
あとはひたすら漕ぐだけ。漕ぐだけ。
もうすぐって思い始めると観光もせずに進みたくなる。
そしてついに…!
[caption id=“attachment_4277” align=“alignnone” width=“400”]
観音寺市到着!近っ!2日も余っちゃった![/caption]
新入社員が1万円で旅してみたら…
たくさんの人にお世話になりながら順調すぎた1万円旅。
その残金は…
5950円!!!
予想以上に余ってしまいました!
困るハプニングは財布を無くしたくらいで、色々な人との出会いがあり、びっくりするほど充実した旅でした。
いろんなこと期待していた人には少し申し訳ないですねw
人の優しさや、見ず知らずの人に対しての「おもてなし力」には驚かされましたが、それ以上に今回驚いたのが、日本が隅々まで発展した国だったことです。
大きな国道から山の中まで、綺麗なアスファルトの道路が伸びており、絶えず車が走っている。
至る所にコンビニ(と快活CLUB)があって、食べ物が揃っている。
そこら中で寝ることができて、トイレと水には困らない。
最悪何かあったら電車にも乗れるし、連絡も取れる安心感には精神的に支えられました。
多分0円生活だったとしてもなんとかやれたのではないかと思います。
とにかく楽しかったので、次はどんな1万円生活をしようか、今から考えています。
読んでくれたみなさんありがとうございました。
面白いアイデアがあったらお待ちしています!
[caption id=“attachment_4281” align=“alignnone” width=“800”]
残金5950円分の差し入れを後輩たちに。お疲れ様![/caption]