こんにちは! ISAOのなんちゃってエンジニアTORIIです。 2月25日〜3月1日までスペインで開かれていたMobile World Congress 2019(通称MWC)に行ってきました。
MWC 2019 (Fira Barcelona Grand Via)
MWCを総括すると、どこもかしこも次世代通信規格5Gに関連した展示で目白押し、今年後半から本格的に展開する5G対応のスマホを含むハードやサービスが多数出展されていました。
今の4Gからネットワークの速度・レイテンシ、接続デバイス数がそれぞれが10倍以上に増えることが期待される5Gの能力を生かしたサービスの数々は圧倒されるほどの数であり、それぞれに特色のあるものでした。
もちろん5G関連以外にも、AI、スマホ、ウェアラブルデバイス、スマートシティ・ホーム、自動運転車、ロボットなど各分野の展示も多数あり、多くの見所のあるプロダクトが散見されました。
今日はその中からいくつか気になったプロダクトを紹介したいと思います。
スマートフォン
あちこちで報道されているのであえて取り上げるまでもないのですが、個人的に注目していたところなので、まずは先頭で紹介します。
注目されていたHuaweiのMate XやSamsungのGalaxy Foldは
このようにガラスケースの中に入っており、触ることはかないませんでした。残念です。
SonyMobileの Xepria 1や Galaxy S10系は実際に触ることができる実機が展示されていました。
Xperia 1
まずは Sony Mobile CommunicationsのXperia 1から。
こちらはブラビアTVで培った技術を応用してSDR(スタンダードダイナミックレンジ)映像をHDR(ハイダイナミックレンジ)映像に変換する機能のデモです。
写真ではわかりづらいですが、非常に色あざかな発色です。
こちらDOLBY ATMOSサウンドを体験するデモです。DOLBY ATMOS搭載デバイスは最近では珍しくなくなったとはいえ、初体験の私にとってオフ・オンを切り替えた時の違いは実際に聞いてみると音の広がりが全然違いました。
Xepria 1は本当に映像と音に相当力を入れているようです。
Galaxy S10
MWC直前で発表された Galaxy S10は、S10、S10e、S10 plus、S10 5Gと4機種もラインナップ。
写真はGalaxy S10 5Gです。
Galaxy S10系もDOLBY ATMOS対応です。 さらにPixel3では消せなかった邪魔なナビゲーションバーを小さくし、上方向のスワイプで代用する機能があるそうです。広い画面を活かせていいですね。
その他
その他HuaweiやXiaomi、LGといった日本でも有名な企業はもちろん、日本では知られていない企業からも正直もはや区別がつかない規模で様々なメーカーが多数の新端末を発表・展示していました。
それでも、例えばHuaweiは外側の折りたたみ型ディスプレイ(フォルダブル)へ、Samsungは折りたたみ型ディスプレイ、SonyMobileは21:9という新しいアスペクト比を持つディスプレイ、LGはフロントカメラによる」ハンドジェスチャーAir Motion、Xiaomi/Oppoはカメラが飛び出すギミック、などと去年のノッチ一色とは違い各メーカーが少し異なった方向への進化してきたのがとても興味深いと感じました。
もっとも、こうした目立った端末は価格も相応に高騰しており、特にフォルダブルタイプのものは20万円以上と高価で、仮に日本で発売されたとして今年はキャリアの端末代金と通信代金が一緒になった複雑な料金形態が禁止され端末購入時の補助がなくなるため、見かけ上端末代金が上がることになります。
果たしてGalaxy Foldや Mate Xのように高価な端末を買うユーザーがどれくらいいるのか、ケースとか保護フィルムとかどうなるのかな、など疑問はいろいろありますね。
SK Telecom
韓国のSK Telecom社が仮想空間嬢に集まったメンバーとアバターを通じて一緒に同じビデオを視聴するVRプラットフォームを発表していました。
アバターの動きがコミカルで、いろいろなリアクションを取ることができるので側からみていて面白いです。
しかし、私はそんなことよりもディスプレイの方に目が釘付けになりました。
以前から噂には聞いていましたが、表から見れば映像が写り裏からみると透過している、これが透過ディスプレイなのか、と。
SK Telecom社以外でも透過ディスプレイを使って展示しているところはありました。 しかし、これほど大規模に使っていたのはSK Telecom社だけでした。
これは会社に一台あると目立っていいですね。
Giant iTab
個人的にお気に入りだったはこちらのGaiant iTabです。
見ての通り、でっかいスマホの形状をしたマルチタッチ対応のFull HDディスプレイです。
27/42/55インチの3タイプがあり、iOS/Android/Windowsに対応しているとのことです。
最初は内部的にはミラーリングしているだけの製品かなと思ったのですが、スタンドアローンで動いているそうです。
今までアリそうでなかったと思うのですが、会社に人を呼んでモバイルアプリのデモをするときにはうってつけですね。
Nubia
初日の25日に新製品発表会を行ったNubiaは早速ウェアラブルデバイスにしては結構大きいディスプレイを搭載したスマホ(分類的にはウォッチではなくスマホ)Nubia αを展示していました。
フレキシブルディスプレイなので、腕に合わせてディスプレイが曲がります。
タップ、ダブルタップ、スワイプなどスマホでおなじみの操作でコントロールできるだけでなく、搭載されているカメラによるハンドジェスチャーでも操作ができるそうです。ちょっと面白いです。
手にとってみたところ、タッチの感じはスムーズでした。ただ少し腕につけると少しごついですね。慣れなのかもしれませんが。
そうそう、両面ディスプレイタイプのスマホNubia Xも展示していました。
スマホの両面にディスプレイがあるので、背面カメラで代用できるためフロントカメラがなく、邪魔なノッチもありません。 ああその手があったか、とちょっと虚を突かれた気分です。
通常は端末を裏返して上を向いている方が有効になる仕様で、専用に作られたゲームなどでは表面でゲーム画面を表示し、背面をタッチパネルやサブディスプレイとして使えるようです。
NTT Docomo
5G環境下によるリモートオペとか、サイクリングのライブ解析、超横長巨大ディスプレイ、空港などで使うの保安設備(なぜそんなのを作っている?)など色々と出し物があったDocomo。
その中でも一番光っていたのは5Gによる離れた場所で演奏する人をステージに投影しつつ、音や映像を同期させる5G Cyver Jam Sessionでした。
(音が出るので注意)
今ままでのネットワークではレイテンシーがあり、遠隔地での音の同期は難しかったのですが、5Gの低レイテンシーを生かし 実際には左側の女性は10〜20mほど離れたところにあるブースで歌っています.
映像のがわずかに遅れている印象もありましたが、音は完璧にマッチしていました。 すごいですね。
4YFN
MWCと併催されているスタートアップ系の出展である、4YFNにも足を伸ばしてました。
最初4YFNってなんの略だろう、と思いきや調べてみると「4 years from now」の略で、これからの4年間で成長し(世界に)変化をもたらすスタートアップの技術を見つけることを目的に開催されているもの、だそうです。
4YFNの会場は本会場とは少し離れたところにあり、本会場との移動はシャトルバスが通っていました。MWC参加者は無料です。便利ですね。
NovaMeat
会場のパンフレットによると500社以上が参加しているこのassetsで、私が特に記憶に残ったのはNovaMeat社の製品でした。
こちらがどのような製品を開発しているのかというと……。
BEEF STEAK!
そう、3Dプリンタで作る植物性の「肉」なのです。
いやいや、そんなもの作れるものなのか!? と最初は疑問に思いました。
しかし、ゆっくりと少しずつではありますが3Dプリンターが肉の構築し、厚みを付けていっています。
素材は植物性タンパク質の粉末と海藻らしいのですが、本物の鶏肉に近い食感を目指したそうです。
完成まで30分以上かかるようで、観客一同じれったい思いで見つめていました。
そして焼き始めました。調味料もしっかりかけて。
この後、パクッと食べてました(撮り損ねた!)。
操作パネルはこんな感じで、非常にシンプルです。
ちょっと、レトロな感じなのもいいですね。
現状ではまだ100gの肉を作るのに2-3ユーロほどかかるそうです。 しかしこの方向の開発が進みコストや味などの改善が進めば、フードレプリケーターの実現も夢ではないのかもしれません。
最後に
他にもVR/MR系などの展示も多くありましたが、全部紹介しきれないのが非常に残念です。
5G5Gと連呼される中、個人的には本当にそこまで5Gに期待していいのか少し疑問はあるのですが、3G/4Gの時以上に各社が力を入れており、ものすごく激しい戦いが世界で起こっているのは肌で感じました(日本にいるとあまり気づきづらい)。
恐らく一旦サービスが開始されればほんの数年で5Gは世界を席巻し、それに合わせたコンテンツ競争も激しくなることでしょう。 我々も乗り遅れないようにしなければなりませんね。
なお、例年AppleはMWCに参加していませんが、現時点で5Gに関連する情報は何も発表していません。クアルコムとの訴訟を抱えこのまま5Gへの展開が何も見えない状況で今後どうなっていくのか要注目です。