「空気読めない」を排除の危うさ

ハイコンテクスト文化の日本

日本は「ハイコンテクスト文化」だと言われています。

 

「コンテクスト」というのは、慣習、知識、価値観などの我々が持っている文化の背景のことを言います。

その背景が共通認識になっていて、「言葉で言わなくてもわかるよね」というのがハイコンテクスト文化です。

 

日本は、ほぼ単一民族で、長い間クローズに文化が作られてきた歴史もあったため、みんながなんとなく同様の認識を持っているので、言葉ではっきりと伝えなくても意思疎通ができるというのが常識でした。

 

一方、アメリカのように多民族で価値観も多様な人が集まる社会は、ローコンテクスト文化であり、言葉で直接的に伝えないと、意思疎通が不十分になります。

グローバル時代は、ローコンテクストが大前提

ビジネスの現場ではどうでしょうか。

今までほとんどの日本の会社は、「世界第2位のマーケット」「日本語の特殊性」に守られ、日本人だけ、もしくは日本人中心の会社作りが行われてきました。

 

ところが、国内市場が先細りし、労働人口もどんどん減っていく今のような状況になり、会社もビジネスも、グローバル化が余儀なくされてきています。

 

グローバルチームは、「ローコンテクスト」が大前提。

「なんとなくわかるよね」は通用しない。

 

「言葉で」「はっきりと明確に」「敬意を払いつつ、ストレートに」

 

古き良き日本のやり方では、グローバルチームは運営できないのです。

「空気読め」という発言は禁止

「KY」と言えば「空気読めない」ですが、チームの中で誰かが少しわかってなさそうな話をした時に「空気読めよ〜」という感じになるのは良くありません。言いたくなる気持ちは理解できますが。

 

なぜかというと、「空気読めよ」を許容すると、今度はコンテクストを理解していない人が、怖くて発言できなくなり、結局同質性の高い人たちだけが中心で物事を進めていくことになってしまうからです。

 

疑問があれば、誰でも素直に質問したり、異議を唱えたりする。

そこに遠慮や不安はないようにしていかなければなりません。

「空気読め」がうみだす忖度による弊害

空気を読まなければいけないチームで発生するもう一つの大きな問題は、「忖度」です。

チームの中で、偉そうな人に忖度すると、説明するにしても先回りして色々なことを準備しなくてはいけなくなる。

そうやって、結局必要ないことまで準備すると、効率は格段に落ちてしまいます。

 

ですから、何かをお願いするときは、明確に言葉にしなければいけませんし、逆にそれ以上のことを忖度してやりすぎることは効率やスピードを上げるためには絶対にやってはいけないことなのです。

僕が感じる同質性の高い組織の弱さ

同質性は、国籍が一部に集中していると起こりやすい現象です。

例えば、日本にある、日本人がほとんどを占める会社など。

 

その点では、現在ISAOは、日本人以外はまだ10%程度で、国籍集中型で、同質性の高い組織と言えると思います。

 

ISAOは、基本的に国籍を問わず「いい人採用」というふわっとした採用方針もあり、意地悪な人がいないのが特徴で、僕たちはそれをとても気に入っています。

ただ一方、たまに少し強めのKYキャラが入ってくると、お互いに分かり合えないことがあってもダイレクトに話をせずに、なんとなく「あの人付き合いづらいな〜」と言って、その人を遠巻きにしてしまう傾向もあり、それを僕は問題だと思っています。

 

様々なタイプがいなければチームは強くなりません。

サッカーで例えれば、みんながフォワードだけのチームとか、みんながディフェンダーでは勝てないというところでしょうか。

 

もちろん多様性があれば、最初からは分かり合えないことは多くなります。

当たり前です。そして、分かり合えなかったら、直接言い合えばいいのです。多少の軋轢は織り込まなければなりません。

 

「チームの発達段階」という有名なモデルがあります。

そこでは、最強のチームになるまでには4段階が必要と言われています。

 

フォーミング(形成期)

ストーミング(ぶつかりあい)

ノーミング(規範形成期)

パフォーミング(チームのパフォーマンスが最大化)

 

 

同質性の高い組織は、ストーミングが苦手な傾向があり、ぶつかり合わず「排除」してしまおうとする傾向があると僕は思っています。

 

多国籍のチームだと、単純に「排除」するということはあまり起こらず、多少揉めたとしてもまず正面から話し合い、わかり合う努力をします。

それはきっと「元々の価値観が違っているので、はっきり話さなければ分かり合えないことが前提」なのだからでしょう。

 

多国籍、多様性、忖度なしのプロフェッショナルチームを目指す

ISAOのビジョンは、「世界のシゴトをたのしくする」。

ですから今後、日本人の比率は益々下がっていって、10年後には日本人は一部、みたいな形を想像しています。

 

様々な国籍の人が集まる場所の会話はきっと普通に「英語」になるでしょう。

 

多種多様なプロフェッショナルたちが、ISAOの価値観やビジョンに世界中から集まり、最強のチームになる。

 

そんな未来を夢見て、これからもISAOは挑戦し続けます。

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