IoT時代のクルマとUX

はじめまして、UIデザイン、情報設計を担当する塚田です。

 

3年前より「人間中心設計」についての学びはじめてから、

UXデザインやサービスデザインへの考え方を実務導入し、社内にファシリテートしています。

これなかなか理解得るのはむずかしい。。

 

2012年より某自動車メーカーのネットとつながるナビ端末のオーディオ部門の

試験研究に2年間ほど参画させていただいた経緯もありますので、

今回このテーマで自論(あくまでも自論だよ)をつらつらと書きます。

 
 

今までのクルマのHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)

 

ここ数年でクルマのカーナビのHMIは大きく変わってきていると感じています。

グーグルやアップルの車載機を開発参入により、

UIの見せ方や操作方法にも変化がおこりました。

 

日本の車メーカーのほとんどは、自動車工業会が規定するガイドラインに則って

ナビのUIデザインを作成しています。

これは運転中操作における「安心」「安全」を最優先にユーザー操作が考えられているわけですが、

その反面、規制に則ったHMIデザインはどのカーナビメーカーも似たり寄ったりでした。

 

JAMA「画像表示装置ガイドライン」

http://www.jama.or.jp/safe/guideline/pdf/jama_guidelines_v30_jp.pdf

 

その中でも国内最大手メーカーであるT自動車のガイドラインは世界でもトップクラスの

ストリクトな規定となっており、僕らデザイナー泣かせな厳しい規制がありました。

 

そこに数年前、アップルの「apple carplay」が登場!

正直、それまでの国内のガイドライン規制を覆すような

シンプルかつすっきりしたUIでした。

 
 

スクリーンショット 2015-12-24 22.50.23
 
 

文字高:5.5mmに足りてないじゃ~ん。。

おまけに静電タッチパネルだからスマホ感覚でスルスル動く。。

これで国内のHMI規定通過するの???

 

と、まぁ衝撃を受けたんですが、

モーターショウで実機触ってみると意外に使いやすいではないですかァァ!!

 

なぜ?!

 

ガイドライン則ってればユーザビリティが良いってわけではないの??

 
 

スマホ時代の新たな操作のアフォーダンス化

 

そう、僕らは8年程前にジョブズがiPhoneを発表してから、

僕らは知らず知らずのうちにタッチパネルの独自操作や

アプリアイコンの形状や配列に慣れてしまっていたわけですね。

 

つまり僕らはアップル(iPhone)によって「新たなアフォーダンス」が備わっていたのです。

 

2000年代に入ってからあらゆるデバイスを日々日常の生活の中で

当たり前に触れる今日において、私たちのUXは日々刻々と進化していっているのです!

 

最近のシーテックなどではどこもかしこもIoT祭り・・・

人々の生活において、つい10年ほど前まではスタンドアロンで完結していた製品すべてが

当たり前にネットでつながる世の中なのです。

さらには生活者の活動の多様性もあいまって、

今となっては既存の車のHMIガイドラインでは、

「ダサさ」と「使いづらさ」を助長する規制になりつつあります。

 
 

今だからこそ「人間中心設計」によるユーザーの本質的欲求の見直しが必要

 

ITによるクルマの進化はこれからも続きます。

各社メーカーが自動運転技術に凌ぎを削り進化していく中で、ドライバーの運転中の行動や欲求にも変化が起きてきます。

 

・走行中の操作が規制されていた動画やアニメーションUI

1タスク操作完了までの8秒縛りルール

1画面ボタン配置数と押下判定範囲サイズ

 

もうこんなこと意識しなくたっていいじゃん!

もう自動運転になるんなら、ヒトですよヒト!!

ドライバーを中心として、運転中の車内でその人が関わるステークホルダーの

本質的欲求を追求していくことが大事。

そんなときに基本に立ち返るという意味でも、「人間中心設計」は良くできたプロセスフレームワークだな~と。

 
 

ISAO_HCD_process_map
 
 

ナビ車載機の開発領域でもこの手のプロセスはもちろん導入してきているとは思うんですが、

であれば、日本国外のドライバーズ・ディストラクションはどんどん変わるべき!

UIデザイナーの視点からもこの規制を越えてもっと自由にデザインしたい!

 

というわけで、強引にまとめると、

 
 

  「安心」「安全」も大事だけど、クルマの領域にも新たなUX開発が必要。

  そのためにもHCDとエクスペリエンスにおけるヒトの本質的欲求を明確にして、

  新たなドライバーのアフォーダンスの創造していく活動すること!

 
 

それが僕らUIデザイナーのネクストステップなんだと日々学んでいます。

 

ではまた今度・・・

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