マネるだけでは、一流のビジネスパーソンになれない理由

なぜ、見本となる一流ビジネスパーソンの近くにいる人でも、マネをするだけで同じようになることは難しいのでしょうか。

自分自身を成長させていくために、自分より経験があって一流だと思う人を観察している人は多いと思います。 「何も考えずに、一流だと思う人をコピーしろ。そうすれば自然に一流になれる」みたいな記事を見ることもあります。

これは、半分正解、半分不正解です。

一流の営業マンの話①

営業を例にとって説明したいと思います。

以前、参加した知り合いの営業セミナーで「最強の営業メソッドはなにか」を教えてもらって、なるほどと思ったことを紹介します。

まず、彼は参加者にまずこう聞きました。 「最強の営業、勧められたら絶対に買ってしまうものってなんだと思いますか?」

うーん、なんだろう。わからない。

「それは医者の処方箋です。処方箋を出されて、その薬買わない人はほとんどいないでしょう?」

それって営業!?と思いましたが、話を聞いてよく考えてみると、実は営業のエッセンスが詰まっています。 医者が処方箋を出すまでのプロセスを想像してみてください。

  1. 「今日はどうしました?」と聞く…アイスブレーク。相手に話をさせる

  2. 「なるほどxxが調子悪いんですね」…共感

  3. 「では、こんな薬を出しますね。これはxxによく効きますので、2日くらい飲み続ければ治ります」…ソリューションの提案

  4. 「この薬は5年前に出て、いまこの病気の治療薬として主流になってます」…実績を説明し、権威を裏付け

  5. 「では、お大事に。これでまだ調子が戻らなかったら3日後に来てください」…クロージング&次回へのつなぎ

営業と全く同じプロセスなんです。そして完璧なプロセスです。

一流の営業マンの話②

ヨーロッパで仕事をしていたとき、僕のメンターは、部下のベルギー人でした。 彼は営業チームのリーダーで、同じ職種として僕より経験があり、またマネージャーとしても成功してきた人でした。

変な話ですが、僕は立場とか役職とかでのプライドはほぼないので、素直に部下である彼にたくさん教わりました。

あるとき彼は僕に質問しました。 「ケイジ、できる営業と、できない営業の違いってなんだかわかるか?」

なんだと思いますか?

彼は言いました。 「どんな場面でも”注文くれ”と勇気を持って言えるかどうかだ。君もいままでそうやってきたはずだ」

たしかに僕はそうやってきましたが、理論的にというわけではなく、ただなんとなくそうした方がいいと感じて自然にやってました。 彼曰く「注文くれ」に対しての反応は3種類しかないそうです。

まずは2種類。 YES→すぐ注文もらえばいい NO→注文をもらえない、これ以上時間を費やすのは無駄

これは簡単ですね。 確かに、ここをはっきりすれば、YESにしてもNOにしても無駄な時間を使うことはなくなりそうです。 (注)もちろん、実際は中期的な戦略などもありますので、もう少し複雑ですが、ここでは超単純なところだけ書きます。

もう一種類はなんでしょう。

それは、”NO, BUT”です。 これは、「NOなんだけど、xxを解消してくれればYESになります」という意味です。

ですから、BUTを解消するか、しないかを判断して、最終的にはYESなのかNOなのかに分類することができるようになるのです。 こうやって無駄な時間を削ぎ落としていくことで活動量を上げて、できる営業はどんどん注文が取れるようになるというメカニズムです。

簡単ですよね。僕は目から鱗でした。

できない営業はこの最後の一言が言えない。 逆に言えば、多少やり方が悪くても、この最後の一言を言える方が良い営業になれる。

彼は、僕が直感的に理解していたことを、論理的に説明してくれました。 これによって、僕はこのことを若い営業マンに伝えることができるようになったのです。

なぜ、先輩の一流営業マンのマネはできないのか

実は、一流の営業マンは、論理的にか直感的にかはともかくとして、これらの必要とされるプロセスをわかっています。 しかし厄介なのは、毎回全く同じプロセスで顧客と話をするわけではないことです。

相手は人間ですので、それぞれが少しずつ違う反応をします。 それに合わせて、ときにはアイスブレイクを長くしたり、次に進めるまでの準備としての共感の時間を長くしたりします。 自分が提案するソリューションのことを、相手がよく知っている場合などは、ソリューションの説明はほんの一瞬で終わったりします。

要は、基本プロセスは踏襲するものの、状況に応じてフレキシブルに対応しているのです。

営業の現場でそれを見ている後輩にとっては、基本プロセスや考え方を理解しない限り、その先輩が何を基準にコミュニケーションをしているかを理解する事はほぼ不可能なのです。

メンターをみつける

ですから、一流の人から学ぼうと思ったら、その行動を観察するとともに、その人から基本になる考え方を聞いてみることが重要です。

こういったことを教わることができるのが、メンターです。 自分が一流だと思う人をメンターにしてください。 メンターは上司である必要はありません。自分にとって最も適した人であることが重要です。

メンターには、やり方を教えてもらうだけではなく、その奥に隠された考え方を聞きましょう。

また、メンター以外でも同じポイントで話を聞くことができればより理解は深まります。 これを繰り返すことで、一流の人が基本にしているプロセスや考え方などがだんだんわかってきます。

本を読んでインプットを増やす

自分の周りの人から学ぶだけでは限界があります。直接話を聞くことができる人数は限られているからです。

インプットを増やすために、本を読みましょう。 そこには、表面的なものだけではなく、その中に存在する基本的な考え方を解説していることが多いです。 こうしてたくさんのインプットをすれば、だんだん世の中に共通する必勝パターンが見えてきます。

直接的なことが書いてある本を読むだけでなく、例えば歴史小説を読んでもヒントになる事はたくさんあります。 要は意識して読むことができるかということです。

どの職種も同じ

営業を例にとって説明しましたが、他の職種でも同様です。 エンジニアでも、人事でも、経理でも、一流のプロセスをどう発見するか

そして、それにプラスして、自身の特性と絡めて自分のプロセスに落とし込む。 最後に、自分の基本行動に組み込んでいくことで、一流への道が拓けるのです。

みなさんも、自分自身の一流のプロセスを発見してみてください。

▼組織も一流に改善できる!?無料セミナー開催中

褒めるだけのコーチを選ばない方がいい理由