サイコーに効いたフィードバックの話③(最終回) 〜オレ、オマエとは仕事したくないわ
個人もチームも成長させる、組織にとって最も重要なコミュニケーションであるフィードバック。
フィードバックをするためには、その人の仕事の上での言動をちゃんと知ることが重要です。
コロナ禍で、多くの会社で全員出社しなくなり、行動が見えづらくなった中、フィードバックの質が落ちてしまうことは、中長期でじわじわマイナスに影響が出ます。
マネジメントとしては手を打っていきたいところですね。
「みんなの活動が見えなくなって困ったぞ」というそこのマネージャーの方。
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と、宣伝はこのくらいにして、前々回、前回に引き続き、僕が受けて最高に効いたフィードバック紹介、パート3をお送りします
▼サイコーに効いたフィードバックの話①
▼サイコーに効いたフィードバックの話②
またまた駐在時代の話
前回の僕のドイツ駐在時代の話〜お前のこと信用できなくなったってチームのみんなが言ってる〜では、ドイツの新会社の中の話を紹介しましたが、実は事件はドイツだけでもなく、日本でも起こっていました。
当時の僕らは、ヨーロッパの市場・顧客に日本製品を売るのがビジネスでした。
僕らは販売拠点として日本に「こんな製品を作って欲しい」とか「こんな機能をつけて欲しい」と日々要望を出します。
(ちなみにヨーロッパの会社は僕ともう一人だけ日本人で、あとの20人くらいは全てヨーロッパの国籍でした。)
製品を作っている日本とヨーロッパでは、マーケットからの要求が全く違うため、なかなか自分たちの要望が取り入れられず、ヨーロッパチームのフラストレーションは常に高い状態になりがちでした。
ヨーロッパから見れば「こうすれば、絶対に売れるのに」と思うことでも、日本は遠いし感覚も違うので、なかなか受け入れてもらえない。
僕は、ヨーロッパ組織のトップでもありましたが、日本からの駐在員ということもあり、ヨーロッパと日本のブリッジをする役割でもありました。
挟まれて、両方から突き上げを食う立場です。
ボトルネックでフラストレーション
ちなみに、この”誰かが挟まれる”という構造は、国をまたいで仕事をしていくときには必ず発生します。
そして日本が絡むと特にひどくなる。
原因ははっきりしていて「日本人が英語をしゃべってくれないから」です。
なので、通訳的な役割も含めて、当時の僕のような人にストレスは集中するのです。
ストレスが集中するだけならいいのですが、そこだけコミュニケーションのラインがキューっと細くなるので、ボトルネックにもなり、この構造はろくなことがありません。
なので、将来インターナショナルにビジネスをしたいと思っている日本人は、ぜひ英語を喋れるようにしておいてください。言語はすぐに上達しないのでコツコツやることが秘訣です。
英語は突然やってきます!!
…話が逸れました。
とにかく、そんな立場に置かれた僕は、日々奮闘していました。
人間は、自分以外の人の感情にはなかなか気づきません。
僕のこのストレスも、誰も理解してくれない感じで月日は経過していきました。
みんなわかってない!
毎月のように日本に出張して、折り合えない話をし続ける。
今から考えると、毎月7〜8時間の時差のある地域をエコノミークラスで行ったり来たりするのは結構大変なことなのですが、まだ30代だったので身体的には全然平気でした。
ただ、フラストレーションは溜まりまくるので、夜飲みにいって「なんでみんなちゃんと仕事しないんだよ!」といった文句のようなものを発散しまくってました。当時の被害者の方々すいません。
今度会ったらおごります。笑
メンター登場
出張で日本に滞在しているある日、社内で僕がマネジメントに関して大きな影響を受けたメンター的な人と偶然会い、ランチしようと誘われました。
その人は、僕のことをさらに若い頃からよく知っている人で、いつも気にかけてくれています。
ランチをしながら「中村、最近はどうだ?」と聞かれた僕は、溜まっているフラストレーションを吐き出しました。
多分30分くらい、だーっと話したのではないかと思います。
いつもは、結構上から目線で厳しいことを言われたりするのですが、その日その人は黙って僕の話を聞いてくれていました。
オレ、いまのオマエとは仕事したくないわ
僕は、自分が話しまくったあと、どう思うかを彼に尋ねました。
彼は、ものすごくシンプルにこう言いました。
「オレ、いまのオマエとは仕事したくないわ。」
は?僕の話聞いてました?
僕、何か間違ったこと言ってますか?
僕は彼の反応が意外すぎてびっくりしながら尋ねました。
彼曰く「確かにオマエは一生懸命やっているのだろう。どんな風に仕事しているかも想像がつく。そして、きっとオマエの言っていることは論理的には正しいんだろう。」
だったらなぜ!?
「うーん。だって、カリカリしてるんだもん。そんなカリカリしてるやつと仕事して楽しいと思う人はいないよ。」
頭を殴られたような衝撃というのはこういうことでしょうか。
ただ、同時に不思議となんだかすごく納得したのです。
僕は思いました。
「そうかもしれない」
フィードバックの効果とは
フィードバックというのは不思議なものです。
誰から受けたかによっても違いますし、長く論理的に伝えればいいというものでもない。
シンプルなキーワードが、最高に効果があるときもあります。
まさにこのときがそうでした。
このときの僕にとって「カリカリしてる」というキーワードは効きました。
このフィードバックをした人は、部下たちに尊敬されるのと同時に、怖い人だと恐れられている人でもありました。
その人に言われたので意外さが倍増した。
絶妙なコンビネーションが、このフィードバックを僕のいままでの人生で最も忘れないものにしたのです。
僕はいまだに「いまカリカリしてるな〜」と自分を戒めていることがあります。
良い仲間、良いメンター、良い上司。
厳しくも温かいフィードバックをいままで僕にくれた人たちに感謝して、この痛くて苦いフィードバックシリーズをとりあえずの完結にしたいと思います。
3回とも読んでくれた方、ありがとうございました!
痛いことを思い出してだいぶ疲れたので、次回以降は、ポジティブ方向のフィードバックについて書いていきたいと思います。笑