こんにちは。中嶋あいみです。
先日ISAOオフィスで、社内メンバー向けに**Design Sprint Workshop (デザイン・スプリント・ワークショップ)**を開催しました!
デザイン・スプリントを初めて聞いた方には、概要と進め方のイメージを。 デザイン・スプリントを既に知っている方には、一例として参考になればと思い、ブログ記事にします。
目次
- Design Sprint (デザイン・スプリント) とは
- Design Sprint (デザイン・スプリント) が有効な理由
- Design Sprint (デザイン・スプリント) って結局何?
- ISAO流Design Sprint ワークショップについて
- ISAO流Design Sprint ワークショップ ハイライト
- ワークショップ体験者の声と、運営側の気づき
- ISAOが考えるUXプロセス 『Loop UX』
Design Sprint (デザイン・スプリント) とは
デザイン・スプリントとは、アメリカのGV (Google Ventures) が提唱するデザイン・シンキングのフレームワーク。 約7名のチームを結成し、月曜日〜金曜日の5日間集中で、課題の抽出〜試作品を使ったユーザーインタビューまでおこないます。
Google 5Days Design Sprint とも言われ、Slack・UBER・Saviokeなどのテクノロジー企業から、ブルーボトルコーヒーなどのB2C企業まで、欧米のスタートアップを中心に広まっている手法です。
Design Sprint (デザイン・スプリント) が有効な理由
私たちは日頃、『新しいアプリを作りたい』 『Webサイトをリニューアルしたいんだけど・・・』 といったご相談を多く受けます。
何度も打ち合わせを重ね、ご要望と提案を目に見えるデザイン案として具現化、意思決定者の承認を経て、数ヶ月かけて開発したにも関わらず・・・ サービスとして世の中に出してから、問題点を発見したり想定外なユーザーの反応に気がつくことが往々にしてあります。
ソフトウェア開発は、世の中ではわずか16%しか成功しておらず、最も大きな理由は、ユーザーの関与・経営幹部のサポート不足とも言われています。(※)
一方、デザイン・スプリントは以下の大きなメリットがあります。
- グループディスカッションで発散せず、より有益な個人のアイデアを引き出すことができる
- 他人に新規アイデアを試してもらい、即反応を見ることで、感覚や予測に頼らない意思決定ができる
- 無駄な投資を避けることができ、結果として製品やサービスを世に届ける期間を短縮できる
Design Sprint (デザイン・スプリント) って結局何?
なんだか難しそうな印象を持たれるかもしれませんが、要は、
お金と時間を無駄にせず、アイデアの創出からテストまでたった5日間で検証してビジネスに繋げよう!
という活動です。
『で、具体的に何をどうやるの?』は、実際に私たちのおこなったワークショップで見ていきましょう。
ISAO流 Design Sprint ワークショップについて
開催のきっかけ
ISAOでは自社サービス・クライアントサービスどちらも開発・制作していますが、 プロジェクトによっては、まだまだ役割の枠を超えたサービス目線のディスカッションができず、分業的になってしまう場合があります。
左図のようにプランナーが企画したあとに、デザイナー・エンジニアが制作・開発するという流れ作業ではなく、 右図のように全員が企画から携わり、UXについて深く考えたうえで各自の仕事をすることが必要です。
ISAOの企業ヴィジョンは億人を熱くするサービス実現なので、『もっと社内でデザイン・シンキングを根付かせよう!』と UXデザインに熱いハートを持つメンバーが立ち上がりました。
企画・運営体制
この3人がファシリテーターとなり企画・運営。
のぶ
ISAOのチーフデザイナーで、人間中心設計 (HCD) のエキスパート。 出張先の米テキサスでも、アメリカ人チームに5Days Sprint Workshopを開催した経験があります。
みなみ ISAOのデザイナー。新卒3年目。 のぶさんのようなデザイナーを目指し、経験を蓄積中。得意技は高速プロトタイピング。
あいみ (筆者) ISAOのマーケター。 ベルリンのAJ&SmartでSprintワークショップに参加。Google VenturesのJake Knappによる5Days Sprint本も全編英語で読みこんでいます。
Google公式のHow to 資料
前述の書籍以外に、資料の一部はGoogleがオフィシャルに公開しているDesign Sprint Kitを引用しました。 5日間ではなく3日間で短めにおこなう際の資料で、イラストやカラフルな世界観がクリエイティブ欲を刺激してくれます。
テーマとグループ分け
テーマは、ISAOの自社サービス ゴール達成への最強にオープンな社内SNS 『Goalous』について。
日頃Webサービスやアプリに関わるエンジニア・デザイナー・ディレクター・マーケターを中心に、7名×3チームで開催しました。
ちなみにアメリカ人・ブラジル人・日本人の3カ国構成のため、1チームだけ英語縛りです!
ISAO流 Design Sprint ワークショップ ハイライト
今回は基本的な概念の理解とワークのバランスを重視して、以下のような構成にしました。
Day | フェーズ | 内容 |
---|---|---|
Step1 | 発見 | 座学・インタビュー・ワーク |
Step2 | アイデアスケッチ | 座学・ワーク |
Step3 | 決定 | ワーク |
Step4 | プロトタイピング | 座学・少し体験 |
Step5 | テスト・評価 | 座学 |
5日間合計40時間ほどのプログラムをたった2.5時間に凝縮したため、だいぶ省略しています。
今回は前半を厚めにして、後半はさらっとおこないました。
実際どんな流れで進めたのか、順を追ってご紹介します。
Step1 前半:月曜日AM
スプリントの骨子を決めるこのフェーズ。
ブルーボトルコーヒーのSprint例を交えながら、Goalousを企画・開発しているメンバーにヒアリング。
GoalousのLong Term Goal (長い目で見たゴール) は? 『世界中の組織のチーム力を上げること』
このゴールを全員の共通認識にしたうえで、これから明らかにしたい不安・疑問をディスカッション。 一例を挙げると・・・
- GKA (Goal・Key Result・Action)の概念がユーザーに受け入れられるのか? - もしもGoalousのユーザーが、0人になってしまったら?
Step1 後半:月曜日PM
次に、カスタマー別 (CEO・チーム管理者・社員) にサービスを使われるフローをMAPで見える化。
ユーザー観察として、インターンの大学生に、Goalousの会員登録〜アクション投稿までの流れを実際にやってもらいました。
マウスの動きや表情を観察しながら、各自ポストイットに気づいた点をメモ。
想定外のつまづきや迷いがあって、多くの気づきが得られたようです。
ユーザー観察の間は、HMW (How Might We) と呼ばれる、自問型の課題発見メモを記入。
『私たちは、初めて来訪したユーザーに、GKAの概念を伝えられるだろうか?』 『私たちは、初回セットアップを、もっと短く簡単にできるだろうか?』
各ペルソナのどのフローに問題があるか、ホワイトボードの前でみんな真剣に、匿名で投票します。
Sprintでは多数決では決して決めず、Deciderと呼ばれる意思決定者が責任を追って選びます。
最終的にはプロダクト・オーナーの厚平が決定。
チーム管理者の初期セットアップフローにフォーカスしよう!
Step2:火曜日
個人の発想力が大事な次のステップ。
初期セットアップフローをどう改善したら、よりよい体験になるだろうか?
みんな真剣にペンを走らせます。
Step3:水曜日
短い時間でアイデアメモを一連のストーリーに仕上げ、またここで投票。
スプリントは声の大きい人の意見が採用されたり、上下関係に遠慮して本音を言えないことのないよう、計算されています。
匿名のアイデアに静かに投票することで、誰のアイデアかどうかではなく、内容にフォーカスできるような仕組みです。
Step4〜5:木曜日〜金曜日
Invisionを使ったプロトタイピングの紹介と、複数人で同時におこなえる評価機能の体験。
ISAOでは1つの決まったツールはありませんが、プロジェクトによってInvision・Prott・Adobe XDなどを使っています。
ワークショップ体験者の声と、運営側の気づき
終了後のメンバーからの声を一部ご紹介。 全体的には好評でした!
- サービスの改善の目的、目標の立て方、進め方について体験できてとても良かった。
- 改めてデザイン思考、ユーザー視点の重要性を考えさせられた!
- こういうワークショップは、実業務に活かせないと思っていたのですが、とても新しい発見があった。
- もっとワークをやりたかった!
- いま関わっているプロジェクトでも実践としてやってみたい。
運営側の気づき。
- 英語ベースのスプリント用語をいかにキャッチーでわかりやすい日本語に置き換えられるか
- 全て体験してもらうには、もう少し長い時間のワークショップを組み立てる
- 勉強寄りのプログラムと、実務寄りのプログラムを分けて企画する
社内メンバーからなので正直なフィードバックをもらえたと思います。 今後改善していきたいです。
ISAOが考えるUXプロセス 『Loop UX』
ISAOでは、GVのデザインスプリント・IDEOの人間中心設計の思想に沿った独自のUXデザインフレームワーク『Loop UX』を用いています。
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5日間みっちりおこなうデザイン・スプリントだけでなく、一部を抜粋して各社・各プロダクトに合わせたデザイン・シンキング手法を提供しています。
こんな企業様にはおすすめです。
- 新規事業アイデアがあり、ビジネス化の検証をしたい
- Webサービス・アプリなどをリニューアルをしたいが、課題を出し切れていない
- ユーザーの声を取り入れて、試験研究・実証実験をしたい
ISAO コーポレートサイトまでお気軽にご相談ください!